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複業・副業ノウハウ 2021.01.19

複業での社会保険ってどうなるの?そんな疑問にお答えします!!

複業副業)をすると社会保険料が増えるのでは?と不安になったことはありませんか?

今回は、そもそも社会保険とは何なのか、複業であっても加入しなければならない社会保険はあるのか、複業の社会保険料を抑える方法などについて紹介します。

社会保険ってなに?

そもそも、社会保険には複数の意味があります。社会保険は人々の生活を保障するための制度の一つであり、医療・年金・雇用に関する制度があります。

なお、日本は国民皆保険制度によって、すべての人が公的医療保険に加入する必要があります。

ちなみに、会社員やアルバイト・パートなどの被用者が加入する健康保険・介護保険・厚生年金のみを指して「社会保険」と呼ぶこともあり、これは「狭義の社会保険」と呼ばれています。

>>社会保険についてさらに詳しく知りたい方はこちら<<

社会保険の種類

改めてですが、社会保険制度には、医療に関するもの、年金に関するもの、雇用に関するものと3つの区分があります。

  • 医療に関する社会保険制度…国民健康保険、健康保険、介護保険
  • 年金に関する社会保険制度…国民年金、厚生年金
  • 雇用に関する社会保険制度…雇用保険、労災保険(2つを併せて労働保険といいます)

働き方別の社会保険

では、雇用されている被用者と雇用されていない個人事業主で、それぞれどんな社会保険が対象になっているかを説明していきます。

被用者が加入する社会保険

雇用されている従業員が加入の対象となる保険は「被用者保険」と呼ばれます。

被用者の社会保険料は事業者が一部を負担し、支給する給与から天引きします。

各保険の保険料の負担割合についても記述していますが、こちらは令和2年の現行法の割合であり、法改正により負担割合が変更される可能性もあります。

被用者の社会保険は以下の通りです。

健康保険

健康保険は企業に勤めている人が加入する、ケガ・病気・出産・死亡に対しての保障制度です。

病院で保険証を見せると診察料の自己負担額が減るのも、この保険のおかげです。

保険料は事業者と折半します。

健康保険では、被保険者の収入で生活をしている家族は被扶養者として健康保険の給付を受けることができます。被扶養者が何人いても被保険者の保険料が変わることはないので、家族が多い場合は国民健康保険と比べて、健康保険の方がお得といえるでしょう。

介護保険

介護保険は介護が必要になった高齢者に対する保障で、40歳以上の人に加入が義務付けられています。

保険料は加入している医療保険の中で算定され、事業者と折半で納めます。

厚生年金

厚生年金は、会社員や公務員が加入する、老後の生活・障害・死亡に対する保障制度です。条件を満たしていればアルバイト・パートでも加入することができます。

保険料は収入ベースで金額が変わり、半分を事業者が負担します。

将来基礎年金のみをもらえる国民年金に比べ、厚生年金を納めた人は基礎年金に上乗せされた年金が給付されます。

 雇用保険

雇用保険は、雇用者の失業に対する保障です。

保険料は事業の内容によって異なり、事業者の方が多く保険料を負担します。

保険料は、毎月の給与総額に保険料率を掛けて算出されます。

一般的な事業の場合は、保険料率は9/1000で、6/1000が事業者負担、被用者の負担する額は3/1000になります。

雇用保険料率についてはこちら

 労災保険(災害保障保険)

労災保険は、通勤中や勤務中に負傷・病気・怪我にかかった場合の保障です。

他の保険と違い、事業主が加入する保険というのが特徴です。

そのため、保険料は全額事業主負担になります。

個人事業主やフリーランスが加入する社会保険

では次に、個人事業主フリーランスが加入する社会保険について説明します。

個人事業主は以下の3つの社会保険に加入する必要があり、雇用されていないので労働保険は適用されません。

また、個人事業主やフリーランスの場合の社会保険料は全額自己負担となります。

以下の保険だけでは不安だと感じるのであれば、民間の医療保険や国民年金基金などに加入しましょう。

国民健康保険

国民健康保険は、ケガ・病気・出産・死亡に対する保障制度です。

保障内容は基本的に健康保険と同じですが、国民健康保険には出産手当金や傷病手当金はありません。

また、健康保険の場合は家族が増えても負担金は変わりませんが、国民健康保険は家族が増えるとその人数分払う金額が増えます。

介護保険

基本的には被用者が加入する社会保険で説明した介護保険と内容は同じですが、保険料は所得割、均等割、平等割、資産割の4つを自治体の財政により独自に組み合わせて計算されるため、一人ひとり保険料が異なります。

国民年金

国民年金は、国民年金制度に基づいた保障で、20歳以上60歳未満の人は加入が義務付けれられています。

収入ベースで積立金が変わる厚生年金とは違い、国民年金の保険料は毎月一律です。

そのため毎月一律の保険料を支払っている国民年金に比べると、会社負担分も含まれている厚生年金は高い保険料を支払っていることとなります。

しかしその分、国民年金の場合は老後に受給できる年金の額も少なくなります。

そこで以下のような制度があり、いずれも任意で加入することができます。これらを利用して老後の資金を蓄えておけると理想的ですね。

なお、資産を運用するタイプのものは損失が出る場合もあります。

付加年金

付加年金は、国民年金に加えて毎月400円の保険料を納めることで、65歳以降に毎年受給する年金の額を増やせる制度です。

ただし後述の国民年金基金と重複して納めることはできません。

付加年金を払うと、「200円×納付した月数分」の額を毎年受けとれます。

例えば5年間付加年金を納めた場合の納付額と、65歳以降の毎年の受給額は以下になります。

納付額:400円×(12ヶ月×5年間)=24,000円

受給額:200円×(12ヶ月×5年間)=12,000円

これだけを見ると、受給額は納付額の半額なので損をしているように思えます。

しかし、納付した年数は5年間だけであっても受給できる年数は5年間に限らず65歳以降毎年12,000円を受給することができるため、2年後にはプラスマイナスゼロになり、3年目からはプラスになります。

公的保険制度を損得で判断するのはよくないですが、支払った額に対するキャッシュバックから見れば圧倒的におトクな制度でしょう。

申し込みは市区役所及び町村役場の窓口からでき、申し込んだ月からの加入となります。

20歳から60歳未満が加入できますが、加入期間の途中で会社員になり厚生年金に変更した期間がある場合は、その期間は付加年金には加入できないので注意が必要です。

また付加年金は確定申告の際、付加保険料として支払った額が社会保険料控除として所得から全額控除できるのもメリットと言えるでしょう。

国民年金基金

国民年金基金は国民年金に上乗せして積み立てることができる制度です。

個人事業主やフリーランスが給与所得者に比べて将来受け取る年金額が低い問題を是正するために導入されました。

国民年金基金には住所地や業種を問わない全国国民年金基金と、各基金ごとに定められた事業または業務に従事している人向けの職能型国民年金基金があります。

どちらも事業内容は同じですが、ひとつの基金にしか加入できないので、加入する前にどちらがいいのか考えてから加入しましょう。

また、国民年金基金の給付には、老齢年金と遺族一時金の2つがあり、どちらか選択することができます。

国民年金基金の加入は「口数制」で、加入口数は月額68,000円以内で選択が可能です。

ただし、後述するiDeCo(イデコ)と合わせて月額68,000円以内で考えなくてはいけません。

何口加入するかによって、将来受け取る年金額が決まります。

国民年金基金のホームページで、今から加入した場合の年金額シミュレーションができるので、参考にしてみましょう!

個人型確定拠出年金(iDeCo)

iDeCo(イデコ)は、定期預金・保険・投資信託の中から好きなものを選んで毎月非課税になる一定の掛け金(5,000円~)を積み立て、60歳以降に積み上げた資産を受け取れる制度です。

掛け金を拠出し、運用方法を選び、掛金とその運用益との合計額をもとに給付を受けることができます。

iDeCoは付加年金および国民年金基金のどちらとも併用することができます。ただし、掛金には上限があるため注意が必要です。

付加年金の場合、付加年金の掛け金は月400円に対し、iDeCoの掛け金は1,000円単位のため、付加年金と併用したときのiDeCoの掛け金は月67,000円が上限になります。

国民年金基金と併用する場合、月68,000円、年816,000円が上限となります。

少額投資非課税制度(NISA)

NISA(ニーサ)とは、株や投資信託などの運用益や配当金を、一定額非課税にする制度です。

特定の口座で購入した金融商品から得られる利益に、毎年120万円までは税金がかからなくなります。

複業をするときに社会保険は二重に加入しなければならないか

それでは、複業をしている際の社会保険料について解説していきます。

ひとくちに複業といっても、アルバイト・クラウドソーシング・FXなど業務内容や形式も様々で、複業の所得区分がなにかによって社会保険の適用範囲も変わってきます。

そこで、複業による所得の種類別に社会保険料がどうなるかについて述べていきます。

給与所得+給与所得のケース

まずは、本業で正社員として給与所得を得ていて、複業でアルバイト・パートや契約社員などの非正規雇用で給与所得を得ているケースです。

この場合は複業の労働量によって、複業先で社会保険に加入する必要があるかどうかが決まります。

健康保険・厚生年金

従業員500人以下の企業の場合、下記の条件を全て満たす人は、社会保険に加入しなければなりません。

  • 1週間の所定労働時間が同じ事業所で同じ業務を行っている正社員など一般社員の3/4以上
  • 1月の所定労働日数が同じ事業所で同じ業務を行っている正社員など一般社員の3/4以上

従業員501人以上の企業の場合、一般社員の所定労働時間および所定労働日数が3/4未満であっても、下記の条件を全て満たす人は、社会保険に加入しなければなりません。

  • 週に20時間以上
  • 月給88,000円以上
  • 一年以上の雇用が見込まれる
  • 学生でない

どちらかの条件を満たすと複業を含めて2ヶ所以上で社会保険に加入することになるため、本業の会社を管轄する年金事務所に「健康保険・厚生年金保険 被保険者所属選択・二以上事業所勤務届」を被用者自身で提出する必要があります。

その提出を受けると年金事務所はすべての給与を合計して社会保険料を求め、その額を按分して本業の会社と複業先の会社に支払額を請求します。

雇用保険

雇用保険は「生計を維持するために必要な主たる賃金を受ける雇用関係にある会社」でのみ加入することになっているため、複業先で加入することはありません。

労災保険

労災保険は事業主が一人でも人を雇った場合には必ず加入しなければならないため、複業であっても事業主と雇用契約を結んでいれば労災保険に加入していることになります。
保険料は事業主が負担するため従業員は気にする必要はありません。

複業の労災について、これまでは労働災害が発生した会社の賃金のみで治療費や休業補償などの給付額が決定していました。

つまり、本業先で事故にあった場合は本業の収入に基づいて労災保険の給付が受けられ、一方複業先で事故にあった場合は複業の収入に基づいて労災保険の給付が受けられるということです。

しかし、2020年9月に労災保険法が改正されたことによって、働いている全ての会社の賃金を合算した金額を基準に給付されることとなりました。

労働時間に関しても同様です。これまでは個々の勤務先で判断していましたが、制度改正により複数の勤務先での労働時間を合算して残業時間を算出し、労災の認定基準を超えているかどうかを見ます。
そのため長時間労働による心臓疾患や過労自殺を含む精神障害等についても、複数の勤務先の状況から総合的に判断できるようになりました。

今後の展望

現在、社会保険適用条件を見直す議論が進んでおり、政府は2020年に加入条件見直しの法案提出を予定しています。

法案が可決された場合、月の賃金が68,000円以上で社会保険の加入義務が発生する可能性もあるので注意が必要です。

本業の会社と複業の会社で社会保険料を按分されても、本業のみの場合とは異なる保険料が本業の会社に通知されるため、複業をしていることはほぼ確実にバレます。

社会保険適用条件が見直された場合、複業禁止の企業に勤めている人は、より複業をすることが困難になるでしょう。

リスクを取るよりは、本業先に複業を認めてもらうか、複業OKな企業に転職することをオススメします。

>>その他の複業がバレる理由やバレない方法についてより詳しく知りたい方はこちら<<

>>複業OKな企業についてより詳しく知りたい方はこちら<<

給与所得+事業所得・雑所得のケース

次に、本業で正社員として給与所得を得ていて、複業で企業と業務委託契約を結んで事業所得を得ていたり、アフィリエイト・FXなどの雑所得を得ていたりするケースです。

この場合、社会保険は本業のものが採用されます。

そして雑所得や事業所得で所得が増えても、社会保険の額が増加することはありません。

クラウドソーシングを用いたライター・イラストレーター・エンジニアなどを複業でしている場合は事業所得にあたり、仮想通貨・FX・ネットオークションなどの複業は雑所得にあたります。

またレアケースかもしれませんが、本業でフリーランスや個人事業主として事業所得を得ており、複業でアルバイト・パート、契約社員などで給与所得を得ている場合、以下の両方の条件を満たすと雇用保険に加入する必要があります。

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

事業所得・雑所得+事業所得・雑所得のケース

給与所得がなく、フリーランスとして働き、複数の事業所得・雑所得がある場合は、上記で説明したように国民健康保険や国民年金に加入しています。

保険に二重加入することはないため、現在と変わりありません。

複業で法人を設立した場合の社会保険

複業で個人事業主として成功すれば、もちろん法人化することもできます。

では、複業の業務を法人化した場合はどうなるのでしょうか。

法人は原則、社会保険に加入する必要があります。この点は株式会社も合同会社も同じです。

すぐに動き出す会社なら会社設立5日以内に、事業所の所在地を管轄する年金事務所へ「健康保険・厚生年金保険 新規適用届」や「健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届」、加えて必要があれば「健康保険 被扶養者(異動)届」を提出し、社会保険に加入します。

ちなみに従業員がおらず代表者1人の法人でも社会保険に加入する義務があるので、注意が必要です。

また自営業(個人事業主)として経営をする場合でも、従業員が5人以上になると社会保険に加入しなければなりません。

雇用保険や労災保険に関しては、従業員がいる場合は法人・個人にかかわらず加入が必要です。

また法人を設立すると、通常、本人は代表取締役などの役員になります。

会社を設立して仕事を行うということは、設立した会社にとって設立者は正社員の会社員という立場ですが、本業先から見ると、複業先の役員報酬などの収入は給与所得に当たります。

加えて、本業の会社が複業を禁止にしている場合、法人化すると給与所得を得ていることになり、複業をしていることがバレてしまう可能性があります。

社会保険料を抑える方法

それでは社会保険料を極力抑えようと思った場合、どうするのがよいのでしょうか。

先述の所得区分を意識したり、残業時間を調整することで工夫できます。

複業を雑所得・事業所得のものにする

先程も述べたように、複業が事業所得もしくは雑所得の場合、保険料は増えません。

複業をしっかり行いつつ社会保険料を増やしたくない場合は、事業所得や雑所得に該当する複業がよいでしょう。

給与所得で「社会保険適用条件」に該当しない程度に働く

アルバイト・パート、契約社員などの給与所得にあたる複業をしていたとしても「社会保険適用条件」に該当しない範囲で働けば、社会保険料は増えません。

3~5月の残業を減らして複業に力を入れる

本業の方で3~5月の残業時間を減らすと、社会保険料を抑えることができます。

社会保険料は、4~6月に支払われる給与の平均額を「標準報酬月額」として、それに基づき保険料を決定する仕組みだからです。

そこで3~5月は残業を減らした分、雑所得や事業所得の複業に力を入れて稼げば一石二鳥ですね。

保険料負担の少ない会社に勤める

健康保険の負担率は原則としては折半ですが、例外もあります。

まず「全国健康保険協会(協会けんぽ)」に加入している場合であれば、会社側と従業員側は保険料を完全折半しています。また、公務員や私立学校の職員が加入する「共済組合」も基本的には同様に完全折半です。

しかし、「健康保険組合」であれば話は違います。健康保険組合は、1つの企業で700人以上の従業員がいる場合、もしくは複数の企業で計3,000人以上いる場合に合同で設立できるのですが、被用者と事業主の負担割合を組合が自由に設定できます。

例えば、サントリー健康保険組合であれば被用者が3.8%で事業主が4.4%の負担割合、トヨタ自動車健康保険組合であれば被用者が3%、事業主が5.3%の負担割合と、被用者の負担率が低くなっているのです。

社会保険料が抑えられたとしても…

社会保険料は抑えられても、所得が増えると住民税や所得税といった税金は増えます。

その点はきちんと確定申告をして納税しましょう!

さいごに

さて、複業における社会保険について理解いただけたでしょうか。

そもそも社会保険とは何なのか、どういう複業であれば社会保険に加入しなくて良いのかを理解した上で、自分にあった複業ライフを送ってくださいね。

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