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税金・確定申告青色申告・白色申告 2019.11.28

青色申告とは?開業届を提出してないとダメ?やり方、どれだけお得なのかを徹底解説します!

みなさんは「青色申告」についてどれだけご存知ですか?

「言葉だけ聞いたことある。」「お得とは聞くけど詳しくは知らない!」という人が多いと思います。

そこで今回、そもそも青色申告とは何なのか、開業届との関連性、提出方法、出すことで得られるメリットなどを中心に詳しくご紹介していきます!

目次

青色申告とは?白色申告とは何が違うの?

確定申告には、「青色申告」と「白色申告」の2種類があることはご存知ですか?

言葉は知っていても詳しく知っている人は少ないと思います。

ここからは、青色申告とはそもそも何なのか、白色申告とは何が違うのかについてご紹介していきます。

青色申告とは?

青色申告とは、国が定めている「青色申告制度」のことを指します。

日本では、国民は税法に従って1年間に生じた所得額と税額を正しく計算して、自ら申告し納税するという申告納税制度が定められています。

そこで「一定の水準で正しく記帳している人は、所得額の計算などにおいて有利な取り扱いを受けられる」としており、これが青色申告と呼ばれているというわけです。

青色申告の最大のメリットは、様々な特典を受けられることです。

詳しくは後ほど説明しますが、中でも「青色申告特別控除」という制度があり、申告内容や申告方法によって10万円、55万円、65万円のいずれかの所得控除が受けられるものがあります。

白色申告とは?

青色申告に対して、白色申告は開業届を提出すれば、別途に何か申請する必要はありません。

複業を行っている場合であっても、事業で継続して利益を得ることを目的としている場合には、開業届を提出する必要があります。

ただし、開業届を出していないからといって罰せられることはないため、開業届を提出せずに複業を行い、白色申告をしている人もいます。この場合、複業で得た収入は雑所得に算入すれば大丈夫です。

また、複式簿記で記帳しなければならない青色申告とは違い、白色申告は単式簿記でいいため比較的簡単に申告することができます。

その代わり、青色申告とは異なり所得額を有利に扱えるようなメリットはありません。

青色申告をすることができる人はどんな人?

誰でも青色申告をすることができるわけではなく、その人が得ている所得ごとに申告できるかどうかが判断されます。

そのために、複業・副業をしている人でも青色申告を認められる人もいます。

青色申告をすることができる人は、以下3つのうちいずれかの所得を得ている人です。

事業所得を得ている人

事業所得の事業とは「独立・継続・反復」をするものを言い、所得が事業所得と認められた人は青色申告ができます。

ただ、事業所得と雑所得の違いは明確にはありません。

そのため、事業所得で申請した後、雑所得での再申請を求められるケースもあるので、不安な人は税理士に相談してみるといいでしょう。

事業所得を得ている場合、青色申告特別控除の要件を満たしていれば最高65万円控除を受けることができます。

不動産所得を得ている人

不動産所得とは、不動産、土地の上に存在する権利、船舶、航空機の貸付けなどから生じる所得のことを言います。この不動産所得を得ている人は青色申告をすることができます。

不動産所得は事業所得とは異なり、不動産の貸付が「事業的規模」であるか否かによって所得税の取扱いが大きく変わってきます。
以下のいずれかの基準に当てはまっていれば、「事業的規模」であると認められ、青色申告で65万円の特別控除を受けられたり、青色事業専従者給与を支給できたりと様々な特典を受けることができます。

  • 貸間、アパート等については、貸与することができる独立した室数がおおむね10室以上であること
  • 独立家屋の貸付けについては、おおむね5棟以上であること
  • 駐車場については、駐車可能台数50台以上であること

当てはまらない場合は「事業的規模」とは認められず、青色申告していても10万円の特別控除しか受けられなかったり、青色事業専従者給与の恩恵を受けられなかったりします。

山林所得を得ている人

山林所得とは、5年を超えて所有していた山林を伐採して売ったり、又は立木のまま売った所得のことを言います。

この山林所得を得ている人は青色申告ができます。

ただし、所得が山林所得のみだと65万円の特別控除は受けることができません。10万円の特別控除のみとなります。

山林所得を得ていて65万控除を受けるためには、他に事業所得か不動産所得を認めてもらわなくてはならないので注意しましょう。

青色申告をすることができない所得は?

事業所得、不動産所得、山林所得が青色申告できるのに対して、青色申告できない所得が多くあります。

その7つをご紹介します。

給与所得

一般的な社員のような給料や賞与による所得のことを言います。

退職所得

退職によって得られる所得のことを言います。主に退職金のような所得のことです。

譲渡所得

事業用の固定資産や家庭用の資産などを売った所得を言います。

利子所得

公社債や預貯金の利子、貸付信託や公社債投信の収益の分配などから生じる所得を言います。

配当所得

株式の配当、証券投資信託の収益の分配、出資の剰余金の分配などから生じる所得を言います。

一時所得

クイズの賞金や満期保険金などの所得を言います。

雑所得

年金や恩給などの公的年金等、非営業用貸金の利子、原稿料や印税、講演料などのように、他の9種類の所得のどれにも属さない所得を言います。

青色申告における経費とは何を指すのか?

経費とは、簡単に言えば「事業を行う上で必要になる費用」のことです。

経費を正確に帳簿することで所得額から経費を差し引き、課税所得を減らすことができるため、節税にもつながります。

今回は経費になり得る代表的な5つの費用をご紹介します。

消耗品費

消耗品費に含まれるのは日常的に使用し、比較的安価な備品です。

例えば、プリンターのインクやコピー用紙、文房具などが該当します。

これらの備品購入にかかった費用は必要経費に算入できます。

接待交際費

取引先との会食やお歳暮、祝い事の際に贈り物をした場合、その費用は必要経費に算入することができます。

仕事関係で行った場所の参加費用や手土産も含まれるので、忘れないうちに接待交際費として必要経費に計上しましょう。

旅費、交通費

仕事で移動が必要になったとき、その移動にかかった費用は交通費として経費に算入することができます。

また、仕事で宿泊しなくてはならなくなったときにかかった費用も旅費として経費算入できます。

図書費

事業に必要な情報や知識を得るために購入した本や図書費として必要経費に算入できます。また新聞も同様です。

ただし、個人の趣味で買った本は経費に算入できないので、予めそこの線引きはしっかり理解しておきましょう。

青色申告承認申請書はいつまでに提出すればいい?

青色申告をするためには、事前に所轄の税務署に「青色申告承認申請書」を提出する必要があります。

青色申告承認申請書はいつでも提出することは出来ますが、開業してから2ヶ月以内に提出しないと、その年は青色申告事業者として承認されないため青色申告ができません。

今回は3つのパターンに分けて、いつまでに提出すべきなのかを説明します。

もしかしたら今からでも間に合うかもしれません!

既に事業を行っていて、白色申告から青色申告に変更する場合

白色申告から青色申告に変更する場合には、変更を反映させたい年の3月15日までに青色申告承認申請書を提出すればOKです。

例えば、2020年から青色申告の恩恵を受けたい場合は、2020年の3月15日までに提出する必要があるということです。

提出忘れのないようにしましょう!

1月1日から1月15日までに開業する場合

基本、2ヶ月以内に提出しなければならない青色申告承認申請書ですが、1月1日から1月15日に開業した場合は、その年の3月15日までに提出すればOKです。場合によっては少し余裕がありますね!

1月16日以降に開業する場合

1月16日以降に開業した場合は、規定通り2ヶ月以内に提出しなければなりません。

ただ、2ヶ月を過ぎてしまっても提出することはできます。

しかし、その場合は提出した年は青色申告の恩恵は受けられず、次の年から反映されることになります。

青色申告のメリットとは

青色申告は白色申告よりも数多くのメリットがあります。

そこで今回は6つのメリットをご紹介します。

これを知ればきっとあなたも青色申告したくなるはずです!

青色申告特別控除の恩恵を受けられる

これが青色申告の一番のメリットと言っても過言ではないでしょう。

「青色申告特別控除って一体何?」と思われる人も多いと思います。

一つずつ見ていきましょう。

そもそも青色申告特別控除とは?

結論から述べますと、青色申告特別控除を受けると所得税の納税額が断然安くなります。

事業を行うと所得が発生しますよね。その金額に一定の割合で、所得税がかかります。

青色申告特別控除は、申告内容や申告方法によって10万円、55万円、65万円のいずれかの所得控除が受けられるものです。そのため、所得税額が安くすることができます。

なお、所得税の税率は5%から45%の7段階に区分されています。

課税される所得金額 税率 控除額
195万円以下 5% 0円
195万円を超え 330万円以下 10% 97,500円
330万円を超え 695万円以下 20% 427,500円
695万円を超え 900万円以下 23% 636,000円
900万円を超え 1,800万円以下 33% 1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下 40% 2,796,000円
4,000万円超 45% 4,796,000円

(引用元:No.2260 所得税の税率

わかりやすく以下のような簡易的な例をご用意しました。

【所得500万円の場合】

所得500万円の場合、「所得が330万円を超え695万円以下」に該当します。

基礎控除額48万円、青色申告特別控除額65万円、所得税率20%、控除額427,500円

  • 青色申告特別控除なし
    (所得額-基礎控除額)×税率-控除額=所得税額
    (5,000,000-480,000)×0.2-427,500=476,500円 が所得税額
  • 青色申告特別控除あり
    (所得額-(基礎控除額+青色申告特別控除額)×税率-控除額=所得税額
    (5,000,000-(480,000+650,000)×0.2-427,500=346,500円 が所得税額

控除があるかないかで13万円の課税所得額の差が生まれましたね。控除がどれだけお得かがお分かりいただけたと思います。

また、得ている所得の種類や記帳のレベルによって最高65万円または最高10万円の青色申告特別控除を受けることができます。

ここからは種類別にご紹介します。

10万円の青色申告特別控除

この青色申告特別控除の種類は控除額が10万円になります。

控除額の最高が65万円なので、その下位互換とも考えられます。

下記で説明する65万円控除の要件をクリアできなかった場合、こちらの10万円の特別控除になります。

10万円の特別控除の場合、白色申告と同じ単式簿記での申告となります。
白色申告は2014年の改正によって記帳が義務付けられたため、それまで記帳の手間が煩わしくて白色申告にしていた人にとって、白色申告することのメリットはほとんどなくなったと言っても過言ではありません。

どちらにせよ記帳をしなければならないため、どうせなら少し大変ですが65万円の青色申告特別控除を目指して複式簿記を勉強してみてはいかがでしょうか。

55万円の青色申告特別控除

2018年度の税制改正で、10万円と65万円のほかに55万円のラインが設けられました。

この改正は2020年度分の所得税、つまり2021年の2月16日~3月15日に行う確定申告から適用されます。

55万円の控除額を得るためには、以下の要件をクリアしなければなりません。

  • 複式簿記で記帳する
  • 発生主義で記帳する
  • 損益計算書を書いて提出する
  • 賃借対照表を書いて提出する

これは税制改正前の65万円の控除を受けるための要件と同じです。

今までの65万円控除と同じ要件をクリアしても55万円の控除になってしまうと考えると10万円分損している気がしますが、同時に基礎控除額が38万円から48万円に引き上げられるため、合計103万の控除が適用されることに変わりありません。

65万円の青色申告特別控除

この青色申告特別控除では、控除額が最高65万円になります。つまり上記の例のパターンですね。

所得が65万円以上ないと受けることができないのかと思われがちですが、65万円以下でも受けることができます。

65万円未満の場合は所得の合計額が控除の限度額となります。

また、65万円の控除額を得るためには、以下の要件をクリアしなければなりません。

  • 複式簿記で記帳する
  • 発生主義で記帳する
  • 損益計算書を書いて提出する
  • 賃借対照表を書いて提出する
  • e-Taxによる申告、または電子帳簿保存(2020年分の所得税から)

これらの要件をクリアできなかった場合、65万円ではなく、10万円の青色申告特別控除になってしまうので注意しましょう。

いきなり複式簿記や発生主義など出てきても分からないと思うので、一つずつ見ていきましょう。

複式簿記というのは、言葉のとおり複数の簿記方法で記帳していく方式のことを指します。

対して、一つの簿記方法で記帳していく方式のことは単式簿記と言います。

単式簿記では「お金の動き」だけを記録していきます。

それに対して複式簿記では「借方」と「貸方」で分けて記帳していき、お金の動きに加えて「原因」も記録していきます。

例えば4月1日に5万円の商品を売り上げて現金でもらった場合、単式簿記であれば以下のように記帳します。

 4月1日 収入  商品売上  50,000円

これに対して、複式簿記だと以下のように記帳します。

 4月1日 現金(借方) 50,000円 商品売上(貸方) 50,000円

違いがお分かりいただけるでしょうか?複式簿記だと2通りの方式で記帳しています。

つまり、一連の取引を経て財政状況がどうなったかを記さなければならないというわけです。

また、発生主義とは 「収入や支出の事実が確定した時点」の日付で計上する会計方法のことを指します。

対して、「現金の収入や支出の時点」で計上する会計方法を現金主義といいます。

例えばクレジットカードで支払いをすると「クレジットカードでの支払いによって引き落としが決定した日」と「実際に口座から引き落とされる日」は異なります。

現金主義の場合は、「実際に口座から引き落とされる日」だけを記帳すればよいのですが、発生主義だと「クレジットカードでの支払いによって引き落としが決定した日」と両方記帳する必要が出てきます。

次に、損益計算書とはいわゆる「P/L」と呼ばれるもので、「費用を何に使って」「どれだけ売上が上がり」「どれくらい儲かったのか」が一覧で分かる仕様となっています。

賃借対照表はバランスシート(B/S)とも呼ばれ、財政状態を「資産」「負債」「純資産」から一覧で分かる仕様になっています。

e-Taxによる申告、または電子帳簿保存は、2020年分の確定申告から追加される項目です。
e-Taxとは、国税に関する申告、申請などの各種手続きをインターネットを利用して行えるオンラインサービスです。また、電子帳簿保存は文字通り、帳簿などの書類をデータとして保存しておくことを言います。

このどちらかの方法で申告することによって、65万円の特別控除が受けられます。

その他の要件をクリアしていても紙媒体で申告した場合、65万円控除は受けられないので注意しましょう。

今まで65万円の控除を受けていた人は、e-Taxによる申告、または電子帳簿保存にすることで10万円分控除額が上がるため、積極的に取り入れたいですね!

赤字の繰越繰戻ができる

控除額に関係なく、青色申告をしていれば損失(赤字)を繰り越すことができます。

個人事業主の場合は3年、法人の場合は9年の繰越が可能です

繰越は分かりやすく言えば、赤字と黒字を相殺することができるということです。

例えばこんな状況があります。

【利益】1年目:400万円の赤字、2年目:300万円の黒字、3年目:300万円の黒字

この場合、1年目は赤字なので所得税額は0円。

2年目は本来であれば300万円に相当する所得税を支払わなければならないところを、1年目の400万円の赤字と相殺することができます。

2年目:300万円-400万円-100万円

と計算できるので納税額は0円です。

3年目も同様に、本来であれば300万に相当する所得税を支払わなければならないところを、2年目に使い切れなかった100万円分を引いて、200万円に相当する分だけを納税すればよいとされています。

赤字の繰越繰戻がどれだけお得かが分かっていただけたと思います。

青色事業専従者の給与を経費に算入できる

そもそも青色事業専従者とは、次の要件のいずれにも該当する人をいいます。

  • 青色申告者と生計を一にする配偶者その他の親族であること
  • その年の12月31日現在で年齢が15歳以上であること
  • その年を通じて6ヶ月を超える期間その青色申告者の営む事業に専ら従事していること

青色事業専従者給与制度は、これらに該当する青色事業専従者に支払われる給与を必要経費に算入して良いとするものです。

専従者給与として経費に算入することで、課税される所得が少なくなります。

この制度の恩恵を受けるためには「青色事業専従者給与に関する届出書」を税務署に提出しなければならないので注意しましょう。

また、白色申告の場合は配偶者や親族に支払った給与は経費に算入することができませんが、事業専従者控除として配偶者は最高86万円、15歳以上の親族は最高50万円を必要経費として参入することができます。

貸倒引当金を必要経費に計上できる

そもそも貸倒れとは、取引先が倒産のような理由で債権が回収できなくなることを指します。

その上で貸倒引当金とは、貸倒損失によるリスクに備え、損失になるかもしれない金額を予め計上した引当金のことを言います。

貸倒引当金を計上するためには、貸倒損失の発生可能性が高いことや引当金の金額の妥当性などの条件があります。

ただ、それが認められた上で、そのお金を経費に計上できれば大きな節税になります。

少額減価償却資産の特例が認められる

そもそも減価償却資産とは、事業用の資産で購入価額が1個あたり10万円以上の耐久性のある資産のことを言います。

白色申告者の場合、10万円以上の減価償却資産を購入したとき、一括で経費計上はできずに国で定められている耐用年数で分割して経費計上していきます。

そこで、青色申告をすると少額減価償却資産の特例が認められ、一括で経費計上できる額が1個あたり30万円まで引き上げられます。

例えば、25万円のパソコンを購入した場合、白色申告者は分割しての経費計上となりますが、青色申告者は一括で経費計上できます。

これによって25万円全額が課税所得から排除されるため節税に繋がります。

ただし、1年間の限度額は合計で300万円までと定められているので注意しましょう。

青色申告のデメリットとは

たくさんのメリットを挙げてきましたが、「逆にデメリットはないの?」と気になる人も少なくはないはずです。

そこで今回は代表的な青色申告のデメリットを2つご紹介します。

事前に青色申告承認申請をしなければならない

青色申告の恩恵を受けるためには、事前に青色申告の申請をしなければなりません。

原則、開業してから2ヶ月以内に青色申告をしなければなりません。

それ以降に提出しても、すぐに青色申告の恩恵を受けることはできないため注意が必要です。

日々の記帳の手間が増える

白色事業者も同様ではありますが、青色事業者も記帳をしなければならない義務があります。

特に65万円の特別控除を受けるためには、複式簿記という難易度の高い記帳を日々行わなければならないので手間は確実に増えます。

また、一定の帳簿書類は保存しておかなければならないので管理する手間も増えるでしょう。

ただ、手間さえ我慢できれば財政的な恩恵は間違いなく受けられます。

どうしても複式簿記のハードルが高いのであれば、単式簿記で10万円の特別控除を狙いに行くのも良いでしょう。

会社員の複業・副業は青色申告できるのか?

フリーランス個人事業主の人は開業届と提出して青色申告をできますが、会社員で複業副業をしている人も青色申告できるのでしょうか?

会社員で開業をしている人、またはしようとしている人は必見です!

基準は事業所得と認められるかどうか

前述したように青色申告をするためには、その所得が事業所得・不動産所得・山林所得のいずれかでなくてはなりません。

そのため、例えば会社員が何らかの複業・副業で収益を得ている場合、それが事業所得と認められれば青色申告ができます。

雑所得でも利益から必要経費を差し引くことができるため、わざわざ青色申告はしないという人も多いですが、もし複業で赤字になった場合、雑所得で申告していると赤字の繰越繰戻はできません。

もし赤字の可能性があるのなら、青色申告することも視野に入れてみると良いでしょう。

趣味程度でやっている複業や内職などの場合は、収益が低く、事業所得として認められないケースも多いため、不安な人は事前に税務署や税理士に相談してみると良いでしょう。

>>所得の種類についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<

青色申告が取り消しになる場合

せっかく青色申告の恩恵を受けようと必死に頑張っていても、途中でその年度の青色申告が取り消しになってしまったらかなりショックです。

ただし、よっぽどのことがなければ青色申告が取り消しになることはありません。

そこで最低限、今回ご紹介する3つのパターンを頭に入れておきましょう。

詳しくは国税庁の「法人の青色申告の承認の取消しについて」でも確認できます。

税務署から帳簿の開示を要求されたが拒んだ場合

税務調査とは、簡単に言えば確定申告の申告内容や納税額が正しいかどうかを調査するものです。

税務調査は個人の場合、法人ほど頻繁に来ることはありません。しかし、申告内容が疑わしい場合は税務調査が入ると思っていいでしょう。

そして税務調査の際に提出すべき帳簿書類の開示を拒否した場合、青色申告の承認は取り消されます。

やましいことがなければ、調査官の指示に従いながら帳簿の開示を行えば、そこで承認が取り消されることはありません。

法律で定められた記帳をせず、指導されても改善しなかった場合

記帳や提出状況が、明らかに悪質であると認められた場合には税務署に指導されることがあります。

指導されたにも関わらず改善が見られなかったときは、青色申告の承認を取り消されるケースもあるため注意しましょう。

総所得額の半分以上の隠蔽や偽装が発覚した場合

これはかなり悪質なケースですが、総所得額の半分以上の隠蔽や偽装が発覚した場合には青色申告が取り消されます。

例えば総所得額が600万円の場合は、300万円以上の隠蔽や偽装が発覚した場合がこのケースに該当します。

確定申告や帳簿が面倒で、「税務調査されなければ・・・」と少し大雑把に片付けてしまいそうになる気持ちも分かります。

しかし、青色申告の取消のような問題になってからでは遅いです。そのため常に誠実に丁寧な申告をすることが何よりも重要です。

青色申告をする前に提出しておくべき書類

今まで青色申告について詳しくご紹介してきましたが、青色申告承認申請書以外で提出する必要がある書類にはどのようなものがあるでしょうか。

そこで、青色申告をする前に提出しておくべき書類を5つご紹介します。

個人事業の開業・廃業等届出書

一般、開業届と呼ばれるものです。これを提出しないと、そもそも青色申告さえできません。

青色申告を考えている人は必ず提出しておきましょう。

>>開業届についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<

青色事業専従者給与に関する届出書

青色申告のメリットで、青色事業専従者の給与を経費に算入できる点を挙げましたが、そのためには事前にこの「青色事業専従者給与に関する届出書」を提出しないといけません。

青色事業者でも、専従者給与を経費に算入する予定がない人は提出する必要はありません。

給与支払事務所等の開設届出書

給与支払事務所等の開設届出書」は、事業主が従業員へ給与を支払い、源泉徴収することを税務署に知らせるための書類です。

開業後に初めて従業員を雇い、給与を支払う予定がある人は必ず提出しておきましょう。

もし提出しなかった場合、源泉所得税の納付書が届きません。
源泉所得税は給与や報酬などを事業主が支払った月の翌月10日までに国に納めなければならない税金です。
源泉所得税の納付書が届かず、納付期限を1日でも過ぎてしまうと、不納付加算税や延滞税といった罰金が課されてしまいます。
余計に税金を支払う事態にならないよう、給与支払事務所等の開設届出書を必ず提出し、納付期限内に源泉所得税を納めるようにしましょう。

ただし、開業時に雇用を予定しており、開業届を提出している場合は不要です。開業届出書に従業員に関する記入欄が設けられているので、その箇所に記入していればこの書類を別途提出する必要はありません。
途中で従業員を雇用することが決定した際や、開業届出書に記入していない際には、従業員を雇用することになってから1ヶ月以内に給与支払事務所等の所在地の所轄税務署に持参、または郵送しましょう。

源泉所得の納期の特例の承認に関する申請書

この申請書は、事前に提出しておかないと青色申告できないというわけではありませんが、原則として翌月10日が納期限となっている源泉所得税を年2回にまとめて納付できるという特例制度を受けるために行う手続です。

ただし、条件として給与支給人数が常時10人未満でなければならないので注意が必要です。

国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請書

2020年度分の確定申告から65万円の特別控除を受けるためには、e-Taxによる申告、または電子帳簿保存が必須となりますが、電子帳簿保存の場合は事前に税務署へ「国税関係帳簿の電磁的記録等による保存等の承認申請」を行わなければなりません。
申請の提出期限は、承認を受けようとする帳簿の備付けを開始する日の3ヶ月前までです。
忘れずに提出しておきましょう。

青色申告の恩恵を受けられるまでの流れ

次に、青色申告承認申請書を提出してから、実際にその恩恵を受けられるまでの流れを一つずつ見ていきましょう。

青色申告承認申請書を提出する

まず、「青色申告承認申請書」を提出しましょう。

青色事業専従者に給与を支払う予定がある人は、同時に「青色事業専従者給与に関する届出書」も提出しておきましょう。

記帳を開始する

次に日々の支出や収入を記帳していきましょう。

記帳方法は、単式簿記と複式簿記のどちらかを選択できます。

10万円控除を受けたい人は単式簿記で構いませんが、65万円控除を受けたい人は複式簿記で正確に記帳しましょう。記帳については手書きでも可能ですが、集計や仕訳にとても手間がかかるため会計ソフトを使用することをオススメします。

また、2020年度分の確定申告からは65万円控除を受けるためには「e-Taxによる申告または、電子帳簿保存」が義務付けられているということも忘れないようにしましょう。

所得税青色申告決算書、確定申告書Bを作成

確定申告をするときに、白色申告か青色申告かをしているかで少し書類が異なります。

ただ、確定申告書の様式はどちらであっても「確定申告書B」を使用します。

なぜなら、確定申告書Bは事業所得や不動産所得を得ている人など誰でも使用できるからです。

それに対して「確定申告書A」は、給与所得や公的年金、雑所得、配当所得、一時所得を得ている人が使用します。

そのため、確定申告書Aは主にアルバイトや会社員が使用しています。

確定申告書Bは項目を広くカバーしており、確定申告書Aはその簡易版を考えると分かりやすいかもしれません。

書類を税務署に提出する

最後に、今まで記帳したものと規定書類をe-Taxで電子申告、または税務署に提出しにいきます。

どうしても期限内に行けないという場合は郵送でも構いません。

確定申告の場合はあくまでも自ら申請する形をとっていますので、税務署に提出する際に記入漏れや記入ミスを税務署が確認してくれるわけではありません。

事前に自分でしっかりと確認しておきましょう。

確定申告の期間は基本的に2月16日から3月15日までとなっています。

税務署はこの時期は非常に混み合うため、時間に余裕をもって行くことを心がけましょう。

青色申告を手伝ってくれるソフトを紹介

一見難しそうに感じる青色申告ですが、現在では、各社から簡単に青色申告できるソフトウェアが増えてきています。

複式簿記は難しそうだなと感じていた人もぜひソフトを実際に見てみてはいかがでしょうか。

今回はそんな青色申告を手伝ってくれるソフトウェアの代表的な3つをご紹介します。

弥生会計ソフ

弥生会計ソフトはクラウドソフト会計の大手です。

弥生会計ソフトには、リーズナブルなセルフプランとベーシックプランがあります。

どちらも入力や申告というような基本機能は利用可能ですが、電話やメール、チャットによるサポートはベーシックプランから利用可能です。

初回であれば1年間無料で利用できます。

freee会計ソフ

こちらもクラウドソフト会計の大手であるfreeeです。

freeeでは3種類のプランから自分の用途に合わせて選ぶことができます。

確定申告書の作成やメール・チャットサポート、クレジットカードと口座の同期はどのプランでも可能です。

プランの値段が上がっていくと電話サポートや財務調査サポート保証などが追加されていく仕様です。

初回であれば30日間無料で利用できます。

MFクラウド会計ソフト

3つ目がMFクラウド会計ソフトです。

このMFクラウド会計ソフトも3種類のプランから選ぶことができ、自分の用途に合わせた利用が可能です。

また、特徴としていずれかのプランに加入すると、確定申告ソフトだけでなく、請求書作成やマイナンバーに関するソフトも利用できるようになります。

ただし、一番お手頃な価格のプランだと少し制限付きの利用になるので注意しましょう。

一番お手頃なプランであれば、1ヶ月無料で利用できます。

さいごに

今回は、そもそも青色申告とは何なのか、開業届との関連性、提出方法、申請することのメリットなどを中心に詳しくご紹介してきました。いかがでしたか。

青色申告と聞くとどうしてもハードルが高く聞こえがちですが、ソフトウェアを利用するとある程度の努力で誰でも申請して恩恵を受けられるようになります。

また、青色申告をすれば白色申告のときよりも節税になります。

ぜひ、この機会に青色申告をしてみてはいかがでしょうか。

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