近年、時勢を鑑みて副業を行う人が増えています。このような状況の中で、副業を始めようとする人を食い物にする「副業詐欺」が横行していることをご存知でしょうか?
副業詐欺ではないと思っている仕事がもしかすると詐欺の可能性があるかもしれません。
安全に副業をしていくためにも、本記事では副業詐欺にはどのような手口があるのか、詐欺に遭わないためにはどうすればいいのかをご紹介していきます。
副業詐欺の主な手口
副業詐欺の手段も巧妙になっているため、どのような手口があり、どのような点に気を付けなければならないのか知っておくことが重要です。
ここからは副業詐欺の主な手口と、その内容について詳しく解説していきます。
副業をあっせんする詐欺
優先的に仕事をあっせんするという約束で「仕事をする際に必要なものだから」と言って、何らかの商品を買わせたり、費用を請求したりする詐欺です。
業者側で支払いの確認が取れた後、音信不通になるといったケースがほとんどです。
高額な費用を支払っただけで、副業のあっせんは受けられずに終わってしまいます。
以下では、副業をあっせんする詐欺にはどういったものがあるのかをご紹介します。
内職
「誰でも高収入が得られる内職」と謳って求人募集されているものは詐欺である可能性が高いです。
なぜなら、内職で高収入を得ている人は希少価値の高いスキルを持っている一方、希少価値の高いスキルを持っている人は多くはいません。そのため、スキルがなくても「誰でも高収入が得られる」と謳っている内職は詐欺であると言い切れるでしょう。
よくあるパターンが、「高収入が得られる内職を紹介する」と言って事前にお金を要求したり、関連商品を購入させられたりするケースです。
例えばテープ起こしの仕事の場合、テープ起こしをするために必要な機材やソフトを事前に購入させられ、その後音信不通になるといったことがあります。
内職を行っている人が多い分、詐欺はないと思いがちですが、内職の中にも詐欺があるということを知っておきましょう。
情報商材関連
情報商材関連では、儲け話やギャンブルなどの情報を売る詐欺があります。
よくある手口としては、「高額収入を受けるためのノウハウ」と称して販売されていますが、その内容のほとんどが実際には儲からなかったり、金額に見合わない内容であったりします。
このように「情報」を売る点が特徴の詐欺です。
中には「返金保証つき」と甘い言葉で勧誘してくる人もいますが、実際には返金もなく連絡もとれなくなるので注意しましょう。
ねずみ講や悪徳マルチ商法
ねずみ講とマルチ商法はよく混同されがちですが、実は別物です。
ねずみ講は、高額な会員費を支払って加入した人が他の人を勧誘し、その人が加入すると紹介料が自分に入り、上の階層のメンバーにも会員費の一部が入っていく仕組みのビジネスです。
一方でマルチ商法は、商品やサービスを販売して販売利益を得ると同時に、消費者を販売員になるよう勧誘しながら会員を増やして紹介料を得る商法です。
ねずみ講は違法ですが、マルチ商法は違法ではないという違いがあります。
ただ、いずれにせよ上位の会員が得をしやすく、下位の会員には報酬が少ないことが問題とされています。
さらにマルチ商法の場合、明らかに商品の価値よりも高額な値段で品物を売られることも多いので気を付ける必要があります。
また、知人や友人、家族など身の回りの人を勧誘していると人間関係の破綻に繋がるため、継続して収入を得ていくことは難しいでしょう。
資格取得
資格商法とは、「受講するだけで簡単に資格が取れる」「この資格を持っていれば必ず高収入の仕事を紹介する」などと言い、高額な教材や受講料を請求する詐欺です。
指定された教材を購入しても、その内容は薄く、値段と見合っていないことがほとんどです。
また、最終的には仕事も紹介されず、音信不通で連絡がとれなくなるので注意しましょう。
さらに悪質な場合だとそもそも存在しない資格をでっち上げ、教材や講座の費用を巻き上げるといったパターンもあるようです。
投資関連
前提として、一般的な投資は当然詐欺には該当しません。ここでは「必ず」「絶対」「安全」といったワードを謳う投資のことを指します。
投資には必ず元本割れのリスクが伴い、比較的安全とされる方法をとっても「必ず儲かる」ということはありません。
詐欺の手口としては「元金を出してくれたら必ず増やして返す」と言って、実際にお金を渡すと増えて返ってくるどころか、支払ったお金すら返ってこないことがあります。
このような謳い文句で見知らぬ人から投資を誘われる場合は、詐欺を疑った方がいいかもしれません。
スマートフォン・パソコンを使った詐欺
近年特に多いのがスマートフォン・パソコンを使った副業詐欺です。
「簡単に儲かる副業!」と謳って費用を請求されることもあれば、中には違法な仕事をさせられるケースもあります。
悪質ポイントサイト
サイトへの会員登録や銀行口座の開設などでポイントを稼ぎ、現金化するのがポイントサイトです。
老舗の優良ポイントサイトもあるので一概にポイントサイトは悪であるとは言えませんが、悪質なポイントサイトもあるので注意しましょう。
詐欺の手口としては、せっかくポイントを貯めても換金ができないケースや、そもそもポイントが付与されないケースなどがあるようです。
SNS関連
SNS関連の副業詐欺には違法な仕事をさせるケースが多いです。
違法な仕事の例としては、「金融機関から◯万円借りてくるだけで◯万円の報酬を差し上げる。借りたお金はすぐに返す」と言い、お金を受け取った後、返済せず音信不通になるパターンです。
これは「名義貸し」にあたります。名義貸しは犯罪行為です。場合によっては共犯者だと疑われてしまうので注意しましょう。
他にも、「指定された場所に行き荷物を受け取るだけ」と聞いていたが、実際は振込詐欺の受け子だったという事例もあります。
知らず知らずのうちに自分が犯罪に関わっていた副業詐欺も少なくありません。
一見簡単な仕事で高収入を得られるように書かれていますが、これらは実際に逮捕事例もあり、犯罪の片棒を担がされるものです。裏社会の人間が関わっていることも多く、一度関わってしまうと離れるのも難しいため、決して手を出してはいけません。
また、違法な仕事をさせられるケース以外にもSNS関連の副業詐欺は様々あります。以下ではSNSの媒体別にご紹介していきます。
Twitterの場合、「リツイートするだけで抽選に参加できます!当選者には◯万円!」と謳ってリツイートした人全員に「当選したから振り込み手数料◯万円支払ってほしい」と言ったり、個人情報を抜いたりする詐欺が横行しています。もちろんお金は1円も入ってきません。
LINE
LINEの場合で特に多いのが、LINEスタンプ詐欺です。
「無料でLINEスタンプをプレゼントします」と言って複数のサイトに登録させられ、個人情報が抜かれます。
この詐欺は実際にLINEスタンプを受け取った人もおり、詐欺だと気づかない人が多いので要注意です。
Instagramの場合、主に広告や人目を引く画像を用いて注目を集め、「写真を載せるだけで◯万円稼げます」や「画像を選ぶだけで高額収入」などと謳って初期費用を支払わせたり、有料コースに勧誘されたりします。
ネットショップ制作
ネットショップ制作詐欺は「絶対に稼げるネットショップを制作する」と言ってサイトの制作費を騙し取るものです。
高額な制作費を支払ってもネットショップでの売上が上がらず、業者に連絡を取ろうとしても音信不通で連絡がとれなくなります。
また、「ネットショップで売上が上がるようにコンサルティングします」と言って高額なコンサルティング費用を請求し、実際には全く役に立たない指示書数枚が送られてくるだけといった詐欺もあるので注意しましょう。
メールレディ
もちろんすべてのメールレディの仕事が副業詐欺というわけではありません。
詐欺の手口としては、メール相手の男性から「お礼に◯万円あげる」と言われ、受け取ろうとすると支払いの手続きとして高額な振込手数料や、システム利用料などを運営会社から要求されます。
また、事前に「登録料」や「会員費」といって費用を請求してくるケースもあるので注意しましょう。
本来、メールレディとして仕事を行う場合、お金を要求してくることはありません。
報酬を支払わない詐欺
非常にシンプルですが、依頼された案件を行い納品しても報酬が支払われないという詐欺です。
正式な契約書をかわさずに仕事を請け負った場合だけでなく、契約書をかわしても相手が逃げてしまう場合も考えられます。
副業詐欺に引っかからないためには
このように副業詐欺には多くのバリエーションがあり、詐欺業者側も日々いろいろな方法を研究しています。そのため、副業をする側も気を付けなければなりません。
ここでは、副業詐欺に引っかからないようにするためにはどうすればいいのか、何に注意すればいいのかをご紹介します。
初期費用や教材費を請求する業者に注意する
仕事を始める前に、初期費用や教材費のような前金を求めてくる業者は詐欺であることがほとんどです。
「仕事をするのにこのソフトがいる」「まずは勉強するのにこの教材がいる」などと言われ、業者側から何かしらの費用を請求された場合には、詐欺を疑った方が良いでしょう。
「誰でも簡単に稼げる」といったような宣伝文句に注意する
このような宣伝文句がついているときは、どのような業務であれ怪しむべきです。
誰でも簡単に稼げる仕事というものは実際には存在せず、うまい話には裏があるということを理解しておきましょう。
このような宣伝文句を使用している詐欺に多いのが「会員登録詐欺」と言われる手法で、高時給の仕事を紹介するといった名目でサイトに登録させられます。このようなサイトはたいてい初回登録料や月額制で費用を請求し、実際に高時給の仕事が紹介されることはないので注意しましょう。
会社の基本情報が書かれていないサイトに注意する
仕事を受けようと思った会社は、まず会社の基本情報をインターネットで検索しましょう。会社のホームページやSNSが出てこない場合は、その会社自体が詐欺のための架空のものであるケースが考えられます。
もし検索して出てきたとしても評判がよくなかった場合は、一度検討し直すことをおすすめします。
仕事内容を理解した上で引き受ける
「高額報酬」「楽に稼げる」といった謳い文句だけを見て、仕事の内容をよく確認せずに引き受けてしまうと、初期費用だけを取られたり、最悪の場合は犯罪に加担させられたりする可能性があります。
仕事内容を詳細に教えてくれない業者は特に注意する必要があります。
どのような仕事をするのかをしっかりと確認した上で引き受けましょう。
違法性があるかどうかを確認する
上述した「仕事内容を理解した上で引き受ける」と関連していますが、仕事が違法でないかどうかには特に気を配っておく必要があります。
銀行口座の売買、物を運ばされる「運び屋」と呼ばれる仕事、電話を使用した詐欺である「かけ子・うけ子」、パチンコを打つ「うち子」などは、法律に違反したものです。
業者側からは「犯罪ではない」といったことや、「リスクはない」などと説明されますが、いずれも犯罪行為であり、騙されて行っていたとしても逮捕されます。
少しでも怪しいと思ったのであれば、引き受けないようにしましょう。
もし副業詐欺に遭った場合
万が一副業詐欺に遭ってしまった場合、速やかにしかるべき機関に連絡・通報するようにしましょう。ここでは詐欺に遭ったと気付いたときに取るべき手段について説明します。
集団起訴に参加する
副業詐欺に遭った場合、弁護士に依頼をする方法もありますが、個人で依頼するとなると想定以上の弁護士費用が発生してしまう可能性があります。
なるべく費用を抑えたいのであれば、集団起訴に参加するのもひとつの手です。
「集団起訴」はその名の通り、同じ相手から同様の被害に遭った人たちが集団で起訴を起こす方法のことを言います。
SNSやインターネット掲示板などで集団起訴について呼びかけているので、一度チェックしてみると良いでしょう。
相談窓口に連絡する
警察のような公的機関には、詐欺被害に遭った際に相談できる窓口が設置されています。いきなり起訴するのはハードルが高いと感じるのであれば、まずはこちらに連絡してみましょう。
消費者ホットライン188「いやや」
消費生活センターは各都道府県に設置されていますが、どこにかければいいかわからない場合に「188」にかけると、地域の相談窓口に繋いでくれます。
相談窓口に繋がるまでは通話料も無料ですので、まず詐欺かどうか疑わしい、話を聞いてもらいたいといった場合はこちらにかけるのが良いでしょう。
警察相談ダイヤル「#9110」
警察に通報しようと思っても、緊急性が低いときに110番にかけるのは気が引けるという方も多いかもしれません。
そのときには「#9110」に電話することをおすすめします。
どのような理由でかけてきたのかを確認し、そのまま適切な窓口へ案内してくれる番号です。
警察に相談したいけどどうすればよいのかわからないと迷っている場合は、この番号にかけると良いでしょう。
法テラス
法テラスとは、国の運営する法的トラブルを解決するための総合案内所のことです。
経済的に余裕のない方が法的トラブルに遭ったときに、弁護士や司法書士に無料で法律相談できます。
法的なトラブルに遭った場合は「0570-078374」、犯罪被害は「0570-079714」に問い合わせると、問い合わせ内容に応じて法制度や相談機関・団体等を紹介してくれます。
ひとまず弁護士や司法書士に法律相談をしたいという人は法テラスに電話してみましょう。
副業詐欺で請求されたお金は支払わないとどうなる?
請求された費用を支払う前に詐欺だと気づいた場合、相手は「支払わないと法的手段に出る」といった脅し文句を使ってくるケースもありますが、断固無視しましょう。
もしお金を支払ってしまい、その後弁護士に依頼して起訴したとしても、支払ってしまったお金を取り戻すのはそう簡単ではありません。
脅し文句を言われても実際に法的手段に出ることはほとんどないため、毅然とした態度で無視しましょう。
しかし、既に個人情報を渡してしまっており、二次被害の不安がある場合は、速やかに警察や弁護士といった専門家に相談することをおすすめします。
既にお金を支払ってしまった場合は?
上述したように、万が一お金を支払ってしまった場合、取り戻すことは難しいですが、集団起訴といった手段に出ることでいくらかは返金してもらえる可能性が上がります。
また、クレジットカードで物品を購入した場合は、カード会社に引き落とし停止の連絡をしましょう。このときに「抗弁書を作る」と言えば支払い停止できる可能性があります。
抗弁書とは、購入した商品が届かない、詐欺で購入させられたなどといったトラブルが発生したとき、クレジット会社からの代金請求に対し、その支払いの停止を申し出る書面のことです。
書き方は日本クレジット協会が教えてくれるので、わからない方は聞いてみましょう。
安全な副業もある
もちろん副業のすべてが危険というわけではなく、安全にできる仕事もあります。
どのような副業であれば安全なのかを知っておくことも大事です。
また「副業」ではなく「複業」を選ぶのも良いでしょう。違いについては後述する「「副業」ではなく「複業」をするのも手」で説明します。
安全にできる副業の種類
安全にできる副業の種類は、以下の仕事が挙げられます。
- ネット在宅系(データ入力、ライティングなど)
- 専門職系(講師、FPなど)
- 代行・生活系(営業代行、家事代行など)
- シェア系(民泊、カーシェアなど)
- 肉体・運動系(ヨガインストラクター、引っ越しスタッフなど)
- 飲食・接客系(キッチンカー、覆面調査など)
- 配達系(Uber Eats、宅配便スタッフなど)
- 投資系(株式投資、仮想通貨など)
ただし、すべてが安全で安心できるとは言い切れません。中には怪しい仕事もあるので、安全な仕事が掲載されているサイトを利用すると良いでしょう。
例えば、ネット在宅系だとクラウドワークスやランサーズなどのサイトが該当します。
その他、副業の種類や安全なサイトについて興味がある方は以下の記事をご覧ください。
>>副業の種類について詳しくはこちら<<
「副業」ではなく「複業」をするのも手
副業の場合、“収入を増やすこと”が目的です。
そのため、「あくまで主たる収入源の本業があり、サブ的に支える収入源」という意識で働きます。
一方で複業の場合は、“自己実現”や“経験による人間としての成長”が目的です。
そのため、「収入が増えることはあくまで付加価値」という意識で働きます。
このような目的や働く意識の違いから、詐欺のリスクを減らせます。
これまで紹介してきた副業詐欺の特徴として共通していることが、「誰でも楽して稼げる」と謳っている点です。
これは「楽して稼ぎたい」という人間の弱さにつけ込めば騙しやすいからです。
そのため「楽して稼ぎたい」というのは、詐欺案件を掴みやすい考え方だと言えます。
複業のように、“自己実現”や“経験による人間としての成長”を目的とし、「収入が増えることはあくまで付加価値」という意識で働けば副業詐欺に遭うリスクを減らせます。
これからは複業をしてみてはいかがでしょうか?
複業のメリット
副業より複業の方が詐欺のリスクは減らせるが、どのようなメリットがあるかわからない方もいることでしょう。
複業には以下のようなメリットがあります。
- 働き方を自分で選べる
- 複数の仕事を経験できる
- スキルアップにつながりやすい
- リスクの分散ができる
- 定年がなくなる
その他、複業のメリットについて興味がある方は以下の記事をご覧ください。
複業エージェントに相談しよう
複業を始めたいけれど、何から始めればいいのかわからないというときは、複業エージェントに相談するのがおすすめです。エージェントが間に入ってくれることによって、怪しい仕事ではないか、問題のない会社なのかなどを見極めてくれます。
例えば、複業マッチングサービスの「ワースタ」では、リモートワークを中心とした複業を数多く掲載しています。
エンジニアやクリエイティブな複業案件から、人事や営業といったまだ複業としては珍しい案件まで、エージェントが自分に合った複業案件を紹介してくれます。
さいごに
副業は有効活用すれば収入の新しい支えとなりますが、どのような仕事を行うか、どのような会社の仕事かを見極めなければ、詐欺に遭ってしまう可能性もあります。
副業、もしくは複業を始めたいと思った場合には、信頼できるエージェントや求人サイトなどを利用し、自分に合うものを選ぶようにしましょう。
今すぐ複業をさがす