老舗企業や大手企業にはない魅力が数多くあるスタートアップ・ベンチャー企業。
新しいことや革新的な事業を行っている企業も多いことから、近年の転職市場でも注目を集めています。
そんなスタートアップ・ベンチャー企業で複業がしたい人や、スタートアップ・ベンチャー企業の複業事情について詳しく解説します。
スタートアップ・ベンチャー企業で複業がしたい人向け
まずはスタートアップ・ベンチャー企業で複業を考えている方に、複業をするメリットやアドバイスなどをご紹介します。
スタートアップ・ベンチャー企業で複業社員の活用が増えている?
スタートアップ・ベンチャー企業の多くは短期成長を目指していることが多く、特にベンチャーキャピタルより資金調達をしている企業はIPO(※1)や売却などのエグジット(※2)を確実に求められます。
ベンチャーキャピタルには資金の出資者がおり、スタートアップ・ベンチャー企業への出資資金はその出資者から出ています。
ベンチャーキャピタルがスタートアップ・ベンチャー企業へ出資した後は、期間内にリターンを発生させて資金の出資者に還元しなければなりません。
このような背景からスタートアップ・ベンチャー企業は急成長を求められる傾向が強いのです。
スタートアップ・ベンチャー企業が短期成長をしていくために必要なことはたくさんありますが、まずは売上を高めることが優先されます。
売上を高めるためにはどうしたらいいのかというと、まずはスキルを持った優秀な人材の採用です。
しかし、優秀な人材はなかなか転職市場には出てこず、仮に優秀な人材がいたとしても採用コストが高くなる傾向にあります。
そのため、優秀な人材を低単価で獲得でき、即稼働してもらえる複業での雇用が増えているようです。
(※1)IPO…Initial Public Offeringの略語で、未上場企業が、証券取引所に上場し、株を投資家に売り出して誰でも株取引ができるようにすること。
(※2)エグジット…スタートアップの創業者やベンチャーキャピタルが投資した資金を回収する方法、または戦略のこと。
スタートアップ・ベンチャー企業で求められているもの
前述したように、スタートアップ・ベンチャー企業では売上を高めることが優先されますが、その他にも求められているものがあります。
それは「無駄なコストを下げる」ことと、「企業価値を上げる」ことです。
まず「無駄なコストを下げる」についてですが、中小企業庁が株式会社東京商工リサーチの調査結果を取りまとめた「倒産の状況」で、倒産原因ランキングの上位に「過小資本」「設備投資過大」が入っています。
継続的な企業経営のためには生産性を下げることなく人件費の最適化や業務プロセスの改善などを行い、無駄なコストを下げていく必要があるのです。
また、「企業価値を上げる」については、企業価値を上げることでM&A(企業の合併買収)やTOB(株式公開買い付け)を実施した際に企業側の交渉優位性の確立や倒産の防止などのメリットをもたらすため、上場企業はもちろん、スタートアップ・ベンチャー企業でも企業価値の向上は重要な経営戦略の一つとして認識されています。
もちろん企業によって求められているものは多種多様ではありますが、スタートアップ・ベンチャー企業で複業を検討している方は、「売上を高める」「無駄なコストを下げる」「企業価値を上げる」この3つが求められているのだと意識しておくといいでしょう。
スタートアップ・ベンチャー企業で複業(副業)することで得られるメリット
企業規模の大小に関わらず複業のメリット・デメリットを知っておくことも大切ですが、大企業にはないスタートアップ・ベンチャー企業ならではの複業のメリットをご紹介します。
>>複業のメリットについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<
>>複業のデメリットについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<
大企業にはないスピード感
複業に限ったことではありませんが、スタートアップ・ベンチャー企業の特徴としてよく挙げられています。
大企業の場合、業務の内容や企画の費用規模によって決裁者が変わることがあります。決裁者を探すだけでも苦労することが少なくありません。
一方でスタートアップ・ベンチャー企業の場合、業務の内容や企画の費用規模によって決裁者が変わるということは滅多にありません。
スタートアップ・ベンチャー企業での意思決定者は主に社長です。そのため、即決裁ということも珍しくありません。
このスピード感はスタートアップ・ベンチャー企業ならではの特徴ではないでしょうか。
経営陣との距離の近さ
少人数のスタートアップ・ベンチャー企業の場合、経営陣が他の社員と同じ場所で同じように仕事をしていることがよくあります。
そのため経営者の口から今後の会社の方針や、どんな戦略でビジネスをしていくのかなど直接聞くことができ、また、その戦略や打ち手が答え合わせ付きで見れることがあります。
基本的に企業はビジネスを成功させるために複業社員を活用します。そこで複業社員に戦略や企画を任せることも多く、複業社員は特に経営陣の間近で色々なことが見ることができて勉強になるでしょう。
個人のパフォーマンスが企業の成長に直結する
大企業の場合、自分の仕事と会社の成長がどのように関係しているのか、自分の仕事が事業や会社に貢献できているのかがどうしても分かりづらくなってしまいます。
しかしスタートアップ・ベンチャー企業の場合、自分の仕事が会社全体の成長に直結しており、それが目に見えて分かります。これは少数精鋭組織の醍醐味でしょう。
また、現職では「当たり前」だと思っている動きがスタートアップ・ベンチャー企業にとっては革新的であることも多々あります。
スタートアップ・ベンチャー企業の複業(副業)の見つけ方
実際に「スタートアップ・ベンチャー企業で複業したい!だけど、どうやって見つけたらいいのだろう?」という声を聞きます。
もし、自力で見つけようと考えているのであれば、知人や過去の取引先、イベントなどで出会ったスタートアップ・ベンチャー企業の社員と直接交渉したり、既に気になっているスタートアップ・ベンチャー企業があるのであれば連絡を入れてみたりするといいでしょう。
もしくは、「ワースタ」などの複業紹介サービスを使うのも手です。ぜひ参考にしてみてください。
複業社員を受け入れているスタートアップ・ベンチャー企業一覧
ここでは、複業社員の受け入れに積極的なスタートアップ・ベンチャー企業をご紹介します。
Ubie株式会社
Ubieは、テクノロジーの力で「世界中の人々を適切な医療に案内する」をミッションにしたヘルステックスタートアップです。AIを使った業務効率化や病気推測のサービスを提供している企業です。
Ubieでは、社員の複業はもちろんのこと、複業の受け入れもOK。週1日勤務からOKで、その他にもリモートワーク、フレックス制度も導入しているようです。
株式会社リブ
リブは、働く女性のライフキャリア支援事業を運営しているベンチャー企業です。
他の会社を経営したり、フリーランスとして活躍しながらLiBの社員同様の待遇を受けられる制度「LiBzメンバーシップオプション」という制度があり、正社員としてジョインが出来る上に、他の社員と同じ待遇を受けることができます。
株式会社Billage
企業の採用支援や複業支援サービスなどを展開している人材ベンチャー企業です。
複業紹介サービス「ワースタ」を運営しているBillageでは、積極的に複業社員を受け入れています。実際に、社員の半数以上が複業社員として活躍しています。
スタートアップ・ベンチャー企業以外でも複業解禁している企業や、複業社員の受け入れをしている企業は「働き方改革!複業・副業を解禁している企業一覧」をご覧ください。
複業(副業)したいスタートアップ・ベンチャー企業が見つかったら
実際に複業がしたいと思ったスタートアップ・ベンチャー企業を見つけることができたら、応募しましょう。
そして応募した後、企業側が書類選考を行い、選考に通過すれば面談を行う必要があります。
基本的には顔合わせ程度の面談を実施する企業が大半かと思います。中には企業が応募者を見定めるための面接を実施する企業もあります。
どちらにせよ共通して言えることは、「自分は何が出来るか」を棚卸しして強みを伝えられるようにしておくことです。
正社員ほどコミットできない複業の場合、限られた時間の中でどれだけのことが自分には出来るのか、何を提供出来るのかをきちんと話せるようにしておきましょう。
稼働開始までの動き方
企業にもよりますが、複業社員の場合は業務委託契約がほとんどです。
その際、業務委託に慣れている会社は業務委託契約書のフォーマットを持っていますが、スタートアップ・ベンチャー企業では用意をしていないこともあります。
念のため、ご自身でも業務委託契約書のフォーマットを用意しておいた方が安心です。
また、スタートアップ・ベンチャー企業で複業として参画する場合にはゼロベースから学んでいく姿勢が大事です。
業界についてはもちろんのこと、競合他社や取り扱っている商材、サービス内容などを把握した上で稼働出来るようにしておきましょう。
その他にも企業側と業務内容や、何を期待されているのか、どういう目標でやっていけばいいのかなどしっかりとすり合わせしておくことをオススメします。
稼働開始後の動き方
実際に稼働を開始した際には、常に業務や事業についてのあらゆる情報を収集・整理をしながら、企業の課題を解決へと導いていきます。
限られた時間の中で最大のアウトプットをしていくことが大事です。
自ら考え、行動し、業務を作っていくという意識で取り組みましょう。
また、正社員とは違い信用構築に時間をかけられないので、早い段階で他の社員と良好な人間関係の構築をしておくことと、小さくてもわかりやすい成果を上げておくことをオススメします。
そういった小さな積み重ねが信用へと繋がっていくのです。
複業(副業)している人へのワンポイントアドバイス
ここまで稼働開始前~稼働開始までの動きをお伝えしてきましたが、全体を通して大事なことは以下の3つになります。
- タイムマネジメント
- 自分の知識を提供する
- コミュニケーション
まず1つ目の「タイムマネジメント」ですが、複業は本業と並行しながら行わなければなりません。そのため本業と複業の時間配分をしっかり自分で管理することが重要です。
管理していても、本業での急なトラブルや残業で複業する時間がない、なんてこともあるかもしれません。そのようなことが起きてしまったときのために、なるべく前倒しで業務を納品するという意識を持ち、迅速な動きで業務を進めていきましょう。
そして2つ目の「自分の知識を提供する」について、スタートアップ・ベンチャー企業で求められていることの多くが知識です。スタートアップ・ベンチャー企業は、組織として未完成で仕組みが整備されていないことが少なくありません。
また、仕組みを作ったり整備していくための必要な知識が豊富にあるというわけでもないため、複業社員には仕組み化、マニュアル化、業務フロー整備、教育方法整備などの知識を求めることがあります。
スタートアップ・ベンチャー企業では特に組織のフェーズがどんどん変わっていくので、その都度自身の知識やスキルを提供出来るようにしておきましょう。
3つ目の「コミュニケーション」ですが、前述したようにスタートアップ・ベンチャー企業では特に組織のフェーズが短いスパンで変わっていきます。その都度、ニーズが変わることも珍しくありません。
複業先で何を求められているのか、ニーズは何なのか、もっとして欲しい仕事はないかなど積極的に質問を投げかけたり、月に1回はミーティングを設けたりすると良いでしょう。
複業社員を採用したいスタートアップ・ベンチャー企業向け
スタートアップ・ベンチャー企業で複業を考えている方に複業をするメリットやアドバイスなどご紹介してきましたが、ここからは複業社員を採用したい、活用したいスタートアップ・ベンチャー企業様に複業社員を採用するメリットや方法などをご紹介します。
スタートアップ・ベンチャー企業が複業社員を採用するメリット
まずはスタートアップ・ベンチャー企業ならではの、複業社員を採用するメリットを見ていきましょう。
優秀な人材に手伝ってもらえる
スタートアップ・ベンチャー企業は大企業のように採用コストがかけられません。
しかし前述したように、売上を高めるためには優秀な人材を採用していかなければなりません。
そこで、複業という形であれば優秀な人材に手伝ってもらうことができます。
優秀な人材からすれば、複業であれば本業を手放すリスクを取る必要がなく、興味のある分野にチャレンジすることができます。
また、優秀な人材ほど「スキルの幅を広げたい」「スキルを磨きたい」という向上心を持っている人が多いため、経営者との距離が近くスピード感のあるスタートアップ・ベンチャー企業で複業したいという人が多いようです。
正社員雇用より低コスト
優秀な人材を正社員雇用した場合、一般的な年収は大体700万~2千万円程度。多額のコストをかけずに成長することを目指すスタートアップ・ベンチャー企業からすれば、それほどのコストをかけて人件費に見合うだけの活躍をしてくれるかどうか分からない人材を確保することは、リスクになりえます。
しかし、複業として採用すれば1か月あたり目安で数万円~50万円程度で優秀な人材を獲得することができます。
入社してもらいやすく、すぐ稼働してもらえる
転職しようと思った場合、現職を辞めずに転職活動を行うことが大半かと思います。そして、転職先が決まってから退職願を出し、引き継ぎや有給消化を行うため実際に転職先に入社するまで1か月以上かかってしまうことがあります。
しかしスタートアップ・ベンチャー企業の場合は組織のフェーズがどんどん変わっていくため、採用時と入社時で会社の状況が変わっているということも珍しくありません。
その点、複業の場合は引き継ぎや有給消化などの必要がありません。次の日から稼働してもらう、なんてことも可能です。
スタートアップ・ベンチャー企業が上手く複業社員を活用するには
いざ複業社員が採用できたとしても、上手く活用していかなければ「思った結果が得られなかった…」なんてことになりかねません。
ここでは複業社員をより活用していく方法をお伝えしていきます。
複業社員を採用できた際に準備しておくこと
複業社員が採用できたらまずやるべきことがあります。
それは、以下の3つです。
- SlackやChatWorkなどのコミュニケーションツールのグループ作成・招待
- 会社メールアドレスや名刺の作成
- 勤怠表の作成・共有
リモートで作業する複業社員とのやり取りは、主にSlackやChatWorkなどのコミュニケーションツールを利用すると良いでしょう。SlackやChatWorkでなくても、普段社内で利用しているコミュニケーションツールで問題ありませんが、なるべくスピーディーかつスムーズなやり取りができるツールをオススメします。
また、複業であっても自社の社員の一人として、会社メールアドレスや名刺の作成をしておきましょう。
勤怠表作成・共有に関しては、時給制の場合や、稼働状況を知りたい場合であれば用意しておいた方が管理が楽です。しかし、そうでない場合は用意する必要はありません。
ビジョンや価値観・ミッションのすり合わせ
会社のビジョンや価値観・ミッションの共有はとても重要なことです。
何を目指している会社なのか、何を大切にしている会社なのかはもちろんのこと、目指すゴールや成果の定義をしっかりと複業社員に伝えておきましょう。
複業社員の場合、外注と違って中長期的に参画してもらうことが大半です。
短期的に仕事をしてもらう場合は、ビジョンや価値観・ミッションの擦りあわせは不要かもしれませんが、中長期的に参画してもらうのであればきちんとすり合わせしておくと複業社員も動きやすい上に定着しやすくなります。
そのためにも事前にビジョンや価値観・ミッションを明確にしておきましょう。
複業社員に任せる仕事の整理
例えば、優秀な人材に簡単な入力作業を任せるのは宝の持ち腐れです。
本人の適性を見て、頭を使う仕事を任せるのか、手を動かす仕事を任せるのかをきちんと振り分けておきましょう。
また、主にリモートで作業をしてもらうのであればリモート向きの仕事かどうか見極めておく必要があります。
コミュニケーションを必要以上にとる仕事や、成果が分かりづらくデータで共有できない仕事はリモートに不向きと言えます。逆にそうでない場合はリモート向きなので、参考にしてみてください。
徹底的な性善説
複業社員にリモートで作業してもらう場合は、性善説に基づいていなければなりません。
もし性悪説の考えを持っている場合「本当に作業しているのか?サボっているのではないのか?」という心配が出てきてしまい、複業社員との信頼関係を築くことが難しくなってしまいます。
双方で信頼関係が出来ており、信用に応えあう組織であれば複業だろうと正社員だろうと変わらない仕事をしてくれますし、成果を出してくれます。
また、リモートだけでなく情報漏えいに関しても、性善説の考え方を持っていないと複業社員を雇うことは向いていないかもしれません。
ただし、企業側も事前にきちんと相手を見極めておくことが重要です。
仕事で優秀な人材であることはもちろん、人として誠実であるかどうかも見ておきましょう。
情報共有を忘れずに
複業社員だからといって、正社員と同じ情報は共有しないという考え方はあまり良くありません。
複業社員はいつか自社へ転職してくれる可能性がある人材です。
普段転職市場では出てこない優秀な人材を逃してしまうのは惜しいので、そうならないように信頼関係を築くことが大事です。
そのためには、外注扱いをせず、正社員と同じように情報を共有しておきましょう。
とはいえ、全ての情報を開示する必要はありません。
スタートアップ・ベンチャー企業の場合は短期間で会社を取り巻く環境やフェーズが変わるので、その都度「どの情報であれば共有していいのか。どの情報を守ったらいいのか」という基準を確認しながら、共有していきましょう。
優秀な複業人材を採用するには
複業社員を採用するメリットや活用方法は分かっても、どうやって採用したらいいの?という疑問をお持ちなのではないでしょうか。
政府が働き方改革の一環で行った「副業・兼業の促進に関するガイドライン」の公表、「モデル就業規則」の改定により複業希望者は増加しているため、案外身近な人で複業をしたいと思っている人がいるかもしれません。
身近な人で「ぜひこの人に複業社員としてうちに来て欲しい!」という方がいれば、自ら声をかけてみるのも手です。
しかし、そういう人が周りにいない場合や、もっと手軽に複業社員を採用したい場合は、複業紹介サービス「ワースタ」にぜひご相談ください!
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