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ワークスタイルテレワーク・リモートワーク 2021.04.28

テレワーク・在宅勤務を導入するなら就業規則の変更は必要?在宅勤務規程例もご紹介

近年ではテレワークを導入する企業が増えてきています。また、今後導入したいと考えている企業もいることでしょう。

しかし、ただ導入すればいいというわけではありません。

きちんとルールを定めておかなければ、企業と従業員との間でトラブルが生じてしまう恐れがあります。

万が一に備え、テレワークに対応した社内規定の整備を行っておきましょう。

本記事では、テレワークを導入するにあたって就業規則に定めるべき事項や作成手順など詳しく解説していきます。


テレワークとは

日本テレワーク協会は、テレワークを「ICT(情報通信技術)を活用した場所や時間にとらわれない柔軟な働き方」と定義しています。

テレワークの中にも分類があり、企業と雇用関係にある人がオフィス以外の場所で働く「雇用型テレワーク」と、企業に雇用されていない人が好きな場所で働く「自営型テレワーク」の2つに区分されています。

本記事で対象となるのは「雇用型テレワーク」のみです。就業規則は、企業に雇用されずに働く自営型テレワークには適用されません。

以下の記事ではテレワークについて詳しく説明しているので、興味のある方はご覧ください。

>>テレワークやテレワークの種類について詳しく知りたい方はこちら<<

雇用型テレワーク

テレワークに関する就業規則について詳しく解説する前に、本記事での対象となる「雇用型テレワーク」についてまずは理解しておきましょう。

雇用型テレワークは勤務場所によって、次の3つに分類されます。

  • 在宅勤務:自宅で就業する働き方
  • モバイルワーク:車内やカフェなど場所を制限されずに勤務する働き方
  • 施設利用型勤務(サテライトオフィス):会社以外のワークスペースで勤務する働き方

近年では新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、様々な企業で在宅勤務が広く実施されるようになりました。

また、それに伴い在宅勤務を推奨する流れも加速し始めています。

テレワークの導入状況と導入の目的

導入状況の推移
引用:総務省「令和元年通信利用動向調査報告書

総務省の発表している「令和元年通信利用動向調査報告書」からテレワークの導入状況を見てみると、令和元年(2019年)に至るまでテレワークを導入する企業の割合は年々増加しています。

令和元年時点では「導入している」と答えた企業は20.1%で、「導入していないが今後導入予定がある」と答えた企業も含めると合計で29.5%です。前年(平成30年)の26.1%から上昇していることがわかります。

このように年々導入する企業が増加しているテレワークですが、導入する目的としては「BPRモデルのテレワーク導入」と「CSRモデルのテレワーク導入」の2つに分けられます。

BPRとは「ビジネス・プロセス・リエンジニアリング」の略称で、BPRモデルは企業本来の活動目的である業績や生産性の向上を目的としてテレワークを行うことです。

一方で、CSRとは「コーポレート・ソーシャル・レスポンシビリティ」の略称で、CSRモデルでは環境問題への配慮や従業員の労働環境改善など、社会全体や人権保護の取り組みを目的としてテレワークを行うことを意味します。

下記の記事では、企業のテレワーク・在宅勤務の導入状況や導入する方法など詳しく解説しているので、興味のある方はご覧ください。

>>在宅勤務・テレワークの導入状況について詳しく知りたい方はこちら<<

テレワーク(在宅勤務)のメリット・デメリット

テレワーク(在宅勤務)を導入することで、実際にどのような影響があるのでしょうか。

ここでは、テレワーク導入におけるメリットとデメリットをご紹介します。

テレワーク(在宅勤務)のメリット

テレワークを導入することによって企業側が得られるメリットは以下の7つです。

  • 業務効率や生産性が向上する
  • 離職率が低下する
  • 様々なコストを削減できる
  • 優秀な人材を確保できる
  • 企業イメージが向上する
  • 事業継続性が向上する
  • 社員の自己管理能力が向上する

次に、従業員側が得られるメリットをご紹介します。

  • ワークライフバランスが充実する
  • 通勤ストレスがなくなる
  • 居住地の選択肢が広がる
  • 家族とのコミュニケーションが増加する
  • 職場での人間関係のストレスがない
  • 仕事の自由度が増す
  • 業務に集中しやすい
  • 私服で働ける

テレワーク(在宅勤務)のデメリット

テレワークを導入した際に懸念される企業側のデメリットは、以下7つあります。

  • 環境整備コストがかかる
  • 情報漏えいのリスクが高まる
  • 部下のマネジメントがしにくい
  • 社員の一部に方針変更に対する抵抗感を感じさせる
  • 緊急時の対応に遅れる
  • 労災認定が困難になる
  • 人材育成がしにくい

続いて、テレワーク導入時の社員側のデメリットは次の通りです。

  • 長時間労働になりやすい
  • 仕事とプライベートが混同する
  • 正当な評価を受けづらい
  • コミュニーケーションが希薄化する
  • 慢性的な運動不足になる
  • 家庭環境に左右される
  • テレワークを導入できる仕事が少ない

下記の記事ではテレワーク(在宅勤務)のメリット・デメリットについて詳しく紹介しているので、興味のある方はご覧ください。

>>テレワーク(在宅勤務)のメリット・デメリットについて詳しく知りたい方はこちら<<

テレワーク(在宅勤務)に向いている職種

テレワークは職種によって向き不向きがあります。

例えば医療や福祉、接客業などは実際に人と対面して業務を行わなければならないため、テレワークには向いていない職種と言えます。

一方で、テレワークに向いている職種としては以下のものが挙げられます。

  • IT系エンジニア(システムエンジニア、プログラマー、コーダー)
  • デザイナー・イラストレーター
  • ライター・編集者
  • Webマーケター
  • 営業(内勤営業、インサイドセールス)
  • カスタマーサポート・オペレーター
  • 事務・アシスタント(データ入力)

上記以外にも、出社しなくても遂行可能な業務や、成果が分かりやすい業務などが向いています。

テレワーク(在宅勤務)を導入するなら就業規則の変更は必要?

本来、「常時10人以上の労働者」を使用する使用者は就業規則を作成し、労働基準監督署に届け出なければならないと労働基準法で定められています。

もし労働条件が通常勤務時とテレワーク時で差異がないのであれば、就業規則を変更する必要はありません。

しかし、実際には同じ就業規則で通常勤務時とテレワーク時両方に対応できるケースはほとんどないと言っても良いでしょう。

既にテレワークに対応している就業規則であればもちろん変更の必要はありませんが、そうでない場合はテレワーク時の通信費や水道・光熱費などの費用の負担はどうするのか、労働時間はどうするのかなどの問題が生じます。

このような問題を解決するためにも、テレワークに適した規定を就業規則に定めておきましょう。

なお、就業規則の作成義務がない企業でテレワークを導入する場合でも、就業規則に準ずるものを作成した方が良いとされています。

もしくは労使協定を結んだり、労働条件通知書で従業員に通知したりといった対応を行うことをおすすめします。

テレワーク就業規則の作成・変更方法

テレワークに対応した勤務規程を作成する方法は、以下の3つがあります。

  • テレワーク用の就業規則を新たに作成する
  • 既存の就業規則を変更する
  • 個別に雇用契約書や労働条件通知書で明示する

それぞれについて詳しく解説していきます。

テレワーク用の就業規則を新たに作成する

「テレワーク勤務規程」として新たにテレワーク用の就業規則を作成する場合、就業規則本体との位置づけは下図のようになります。

就業規則とテレワーク勤務規程の関係
引用:厚生労働省「テレワークモデル就業規則

このように「テレワーク勤務規程」を新たに作成しても、就業規則の一部とされます。

この方法のメリットとしては、テレワークに関する規定を詳細に定めやすいことです。

「在宅勤務規程」「モバイル勤務規程」「サテライトオフィス勤務規程」といったように就労形態により規程を設けることも可能です。

また、既存の就業規則に追加する方法はどうしても内容が複雑化してしまいがちですが、新たに作成してまとめる形式の方が分かりやすいというメリットもあります。

しかし、詳細なルールを策定しなければならないため、完成までに時間がかかってしまいます。

すぐにテレワークを実施する予定はなく、今後長期的にテレワークを定着させていきたいと考えている企業には最適でしょう。

もしこの方法を採用する場合は、就業規則本体に委任規定を設ける必要があります。その際「従業員のテレワーク勤務(在宅勤務、サテライトオフィス勤務及びモバイル勤務をいう。)に関する事項については、この規則に定めるもののほか別に定めるところによる。」と記載しましょう。

委任規定を設けることで、「テレワーク勤務規程」が就業規則に付属するものとして取り扱われます。

既存の就業規則を変更する

既存の就業規則にテレワークに関する規定を追加する方法です。

この方法は、既存の就業規則には記載されていないテレワークに関する規定を全て盛り込まなければならないため、就業規則が読みにくくなるというデメリットがあります。

そうならないよう、変更する際は必要最低限の規定のみを追加するようにしましょう。例えば、労働時間や勤務場所、費用負担などが挙げられます。

必要最低限の規定だけを追加すれば問題ないため、急遽テレワークを実施しなければならない企業に適した方法です。地震や新型インフルエンザなどの予期せぬ災害が発生した際にこの方法を採用すると良いでしょう。

また、週に1、2日程度テレワークを導入しようと考えている企業にも適しています。このケースであれば勤務制度を大きく変える必要はなく、既存の就業規則を変更するだけで事足ります。

個別に雇用契約書や労働条件通知書で明示する

就業規則には「絶対的必要記載事項」というものがあります。簡単に言えば、必ず記載しなければならない事項です。

実はこの絶対的必要記載事項に「就業場所」は含まれていません。

ただし「就業場所」は労働契約締結に際し、書面交付で明示しなければならない労働条件です。そのため、一般的には雇用契約書や労働条件通知書に明示されています。

もし、労働条件が就業場所以外に変更ないようであれば、新たに「テレワーク勤務規程」を設けたり、既存の就業規則を変更したりするよりも、雇用契約書や労働条件通知書を個別に渡す方がそれほど手間がかからないので適しています。

しかし、テレワーク勤務の対象者が多い企業だと個別に作成、発行するとなるとかなりの手間がかかってしまいます。ごく少数の従業員に対してテレワークを命じる場合にのみ採用すると良いでしょう。

また、前述したように就業規則の作成義務は常時10人以上の労働者がいる企業のみです。10人未満の企業はそもそも就業規則がないこともありますので、個別に労働契約を再締結することをおすすめします。

テレワーク就業規則に定めるべき事項

ここからは、テレワークに対応した就業規則を作成するために、厚生労働省の「テレワークモデル就業規則~作成の手引き~」を参考に定めるべき事項をご紹介します。

新たに「テレワーク勤務規程」を設ける場合も、既存の就業規則を変更する場合も、ぜひご参考いただければ幸いです。

※画像をクリックするとPDFファイルを開けます。

テレワークの定義

まずはテレワークの定義を記載しましょう。

テレワークとは」でも解説した通り、テレワークの中にも分類があります。導入するテレワークが「在宅勤務」だけなのか、「サテライトオフィス勤務」や「モバイルワーク勤務」も含まれるのかを明確にしなければなりません。

これを明確にしていないと、従業員が自宅以外のカフェや漫画喫茶などで仕事をしてしまい、トラブルが発生した際に適切な対応がとれなくなる可能性があります。

そのため、在宅勤務のみ導入するのであれば「従業員の自宅、その他自宅に準じる場所(会社指定の場所に限る。)」と就業場所を明示しておきましょう。

対象者

次にテレワークを行う対象者を記載します。

勤続年数等の制限を設けた上でテレワーク勤務の対象者とするのか、育児や介護等によって出勤が困難な従業員のみを対象者とするのかを明記しておきましょう。

厚生労働省の「テレワークモデル就業規則」は、本来育児や介護等で出勤が困難な従業員の利用を想定して作成されたものであるため、「(1)在宅勤務を希望する者」という記載があります。これは希望しなければ在宅勤務が利用できないことを意味します。

しかし、新型コロナウイルスの感染防止を目的として在宅勤務を実施するのであれば、全従業員に対して一律に行う必要があります。この場合、強制力を持って企業が在宅勤務を命じるケースも規定として加えた方が良いため、「会社は従業員に対し、業務上その他の事由により、在宅勤務を命ずることがある」といったように記載しましょう。

この一文があることで、感染症の拡大や災害発生時などに急遽テレワークを命じられます。

また、緊急時でない場合に限りテレワークの利用については許可制とすることが一般的です。

いつまでに、誰に許可をとればいいのかも合わせて明記しておきましょう。

服務規律

服務規律とは、企業秩序の維持を図るために労働者が遵守すべき義務や守らなければならないルールのことです。

既存の就業規則では、テレワークに対応した服務規律ではないため、セキュリティに関するルールが不十分と言えます。

この事項では、主に資料の持ち帰りや情報漏えいについてのルールを定めておきましょう。例えば、「会社の情報及び成果物を第三者が閲覧、コピー等しないよう注意を払うこと」「公衆無線LANスポット等漏洩リスクの高いネットワークへの接続は禁止すること」「自宅以外の場所で業務を行わないこと」などが挙げられます。

また、テレワーク時は業務に関わる情報を社外に持ち出すこととなるため、情報セキュリティ対策はより万全に行わなければなりません。そこで、テレワークを導入するにあたり、別途「セキュリティガイドライン」を作成しておくと良いでしょう。

テレワークにおけるセキュリティ対策に関して、詳しくは総務省の「テレワークセキュリティガイドライン第4版」をご参照ください。

労働時間

始業及び終業の時刻や休憩時間などは、就業規則の絶対的必要記載事項に該当するため、労働時間に変更があるようなら必ず記載しなければなりません。

テレワークを導入するにあたって、フレックスタイム制やみなし労働時間制などを適用する場合は、その制度に関する規定を記載しましょう。

テレワークを導入する際に、通常の労働時間制では適切に労働時間を把握できないと考え、事業場外みなし労働時間制を検討する企業も少なくありません。

事業場外みなし労働時間制は、会社以外の場所で仕事をする場合に所定の時間労働したとみなす制度で、企業は労働者の労働時間を適切に把握・管理する義務が免除されます。

労働時間の把握・管理が免除されるという点から、テレワークに最適な労働時間制度と思われがちですが、事業場外みなし労働時間制の適用には一定の条件があるので注意が必要です。

「情報通信機器が、企業側の指示により常時通信可能な状態を取っていないこと」や「業務が随時企業側の具体的な指示にもとづいて行われていないこと」などの厳しい条件があるため、情報通信機器が発達した現代においては、テレワークでの適用が難しいと言っても良いでしょう。

下記の記事では労働時間制度の種類や条件について詳しく解説しているので、興味のある方はご覧ください。

>>テレワーク・在宅勤務で労働時間を適切に管理する方法について詳しく知りたい方はこちら<<

報告義務

テレワーク勤務中は、従業員がいつ業務を開始したのか、終了したのかがわかりません。

そのため、最低限業務開始と終了の報告は義務付けるようにしましょう。

一般的にはメールやチャットを利用して報告する企業が多いですが、勤怠管理システムを利用すると便利です。

また、業務の開始・終了の報告だけでなく、業務の遂行状況や成果、緊急時の連絡先などについても定めておくと安心です。

給与・手当

原則として、テレワーク勤務だからといって基本給や諸手当を従業員の合意なしに減額できません。ただし、勤務時間が短くなったというような合理的な理由であれば例外です。

また、企業によってはテレワークに伴い業務内容を変更したり、人事評価制度を新設、あるいは改訂したりするケースもあることでしょう。このような場合に給与を変更するのであれば、就業規則の給与規程も変更する必要があります。

給与体系の変更は従業員のモチベーションが下がり、生産性が低下してしまう恐れがあるため、慎重に見直していくことが重要です。

手当に関しては、通勤手当を見直す必要があります。

テレワークで出社する回数が減るため、頻度によって実費精算か通勤定期どちらにするか定めておきましょう。

費用負担

自宅で業務を行うとなると、通信費、消耗品費などの費用がかかります。

従業員が負担するのか、会社が負担するのか、会社が負担するのであればどこまで負担をするのかなどをあらかじめ話し合い、就業規則に定めておくことが望ましいです。

もっとも簡便なのが、必要な機器は会社が貸与し、その他の費用は「在宅勤務手当」と称して毎月一定額支給する方法です。

もしこの方法を採用するのであれば、就業規則に「在宅勤務手当」という事項を作成し、条文には「在宅勤務者が負担する自宅の水道光熱費及び通信費用のうち業務負担分として毎月月額〇〇〇〇円を支給する。」といったように記載しましょう。

なお、従業員に費用を負担させる場合でも、就業規則に必ず記載すべきと労働基準法で定められているので留意しましょう。(労働基準法89条5号)

下記の記事では在宅勤務手当の相場や支給方法について詳しく解説しているので、興味のある方はご覧ください。

>>在宅勤務・テレワークの手当について詳しく知りたい方はこちら<<

情報通信機器・ソフトウェア等の貸与等

テレワークを実施するにあたり、業務上必要な機器を貸与する場合は就業規則に定めておく必要があります。

貸与するものは、主にパソコンやスマートフォンなどが該当するかと思いますが、どのような機器を貸与するのかも記載すると良いでしょう。

また、会社が認めていないソフトウェアを勝手にインストールすることはセキュリティの観点から問題が生じることが懸念されるため、「当該パソコンに会社の許可を受けずにソフトウェアをインストールしてはならない」と記載しておくことをおすすめします。

教育訓練

テレワークを導入すると必然的に対面で会うことが少なくなるため、OJTでの教育訓練や集合研修の実施が難しくなります。

従業員の能力を高めるためにも、テレワークに対応した教育訓練を設けることが最善です。

もしテレワークに対応した教育訓練を実施する際は、その旨を就業規則に明記しましょう。

テレワークで教育訓練を行う方法としては、録画された研修動画やオンライン学習ツールなどが挙げられます。

安全衛生

会社は従業員の安全衛生の確保および改善を図らなければならなりません。これはテレワーク時も例外ではなく、テレワーク時での安全衛生について従業員が遵守しなければならない内容を就業規則に記載しておくと良いでしょう。

主に以下の2点について記載しておくことをおすすめします。

  • 作業環境

労働基準法では、在宅勤務時は自宅が安全衛生法に適した作業環境であることを義務づけています。作業環境に関して一定の基準を定める場合は、就業規則に追加、または変更をしなければなりません。

  • 健康診断

テレワークとなると会社が主体となった健康維持や増進活動ができなくなる上に、従業員一人ひとりの健康状態が把握しにくくなります。

そのため定期健康診断とは別に健康診断を実施したり、産業医による健康相談を義務付けたりするケースもあります。その際には必ずその旨を就業規則に追加しましょう。

また、厚生労働省の「情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドライン」には健康被害に繋がる連続作業の防止や、健康体操の推奨などが記載されています。

このガイドラインに則り、別途「VDT作業管理規程」を作成する場合もその旨を就業規則に追加が求められます。 

※VDT(Visual Display Terminals)作業とは、パソコンのようなディスプレイを持つ画面表示装置を使用して作業することです。

就業規則とは別に定めておくべきこと

ここからは就業規則とは別に、テレワーク導入にあたって定めておくことでトラブル防止に繋がる社内ルールをご紹介します。

人事評価制度

勤怠管理に続いて、テレワークにおける人事評価に悩んでいる企業も多いのではないでしょうか。

これまでの人事評価では、「成果」だけでなく「プロセス」も評価に反映してきた企業も多いかと思います。

この場合、テレワークだと勤務態度や仕事ぶりといった「プロセス」が直接把握できなくなります。

すると必然的に成果や実績だけをもとに評価する傾向になってしまいがちですが、それでは成果や実績を数値化できない事務職や企画職などの業務担当は不利になってしまいます。

その際に有効な方法が、目標管理制度(MBO:Management By Objective)です。

目標管理制度とは、部下が上司との対話を通じて組織の方向性に準じた目標を設定し、目標に基づいて個人の評価を行う方法です。

一般的には、「目標」や「達成方法」などを設定する際には、上司と部下の間で相談した上で決定します。評価する側は事前に決めておいた取り組み内容に対して評価を行います。

この方法はプロセスが直接把握できないテレワークであっても、適正な評価がしやすいというメリットがあります。

ただし、適正に評価できるような仕組み作りも重要です。

評価方法にばらつきが生じたり、成果主義に偏ったりと基準が曖昧にならないよう、会社全体で管理職の人事評価ノウハウやスキルを向上させる教育や研修を行うと良いでしょう。

なお、通常勤務者と在宅勤務者で人事評価制度を分ける場合は、どのように評価を取り扱うのかを就業規則に明記しておかなければならないので注意しましょう。

テレワーク就業規則の作成フロー

テレワークに関する就業規則を作成する前に、まず社内で検討すべきことがあります。

最初に検討すべき事項としては、「導入するテレワークの形態」です。

「在宅勤務」なのか、「モバイルワーク勤務」なのか、「サテライトオフィス勤務」なのか、あるいは全ての形態を導入するのかを明確化します。さらに、テレワークの対象者を誰にするかも決めておきましょう。

その後、「既存の就業規則で対応可能かどうか」を検証します。

もし就業規則に改正が必要だと判断した場合は、テレワークに関する就業規則を作成しましょう。

ここからは、テレワーク就業規則の作成フローについて詳しく説明していきます。

  1. テレワーク勤務規程の作成、または就業規則の変更案作成

テレワークに関するルールを検討し、定めるべき事項を洗い出しましょう。

就業規則を見直す際は、実態に即したものでなければなりません。モデル就業規則をそのまま引用するのではなく、あくまで参考までにとどめておきましょう。

定める事項が決まれば、新たにテレワーク勤務規程を作成するのか、既存の就業規則に追加するのかを決定し、就業規則を作成していきます。

  1. 全従業員への説明と要望の集約

完成したら全従業員へ説明を行いましょう。就業規則の改正がなかった場合や、テレワークの対象でない従業員に対しても同様に説明を行い、理解を得る場を設けます。

そして、従業員から上がった意見や要望を集約します。

  1. 問題点の改善

集約した意見や要望から、規程を見直します。その中に問題点があれば改善を目指しましょう。

  1.  労働者代表の意見聴取(意見書)

就業規則を作成・変更するにあたって、労働者の過半数で組織する労働組合(これがない場合には労働者の過半数を代表する者)の意見を聴かなければなりません。(労働基準法第90条1項)

その結果を意見書として書面にして届け出る必要があるので、忘れないようにしましょう。

また、必要に応じて労使協定の締結を行います。

  1. 所轄の労働基準監督署へ提出

所轄の労働基準監督署に、「就業規則(変更)届」と「意見書」、就業規則を2部ずつ用意して届け出ましょう。受理印を押されて1部返却されます。

  1. 就業規則を全従業員に周知

新たに作成した就業規則や、変更した就業規則は全従業員に周知させる義務があります。

周知の方法としては、以下の3つのいずれかとされています。

  • 常時各作業場の見やすい場所に掲示する、あるいは、備え付けること
  • 書面を従業員に交付すること
  • パソコンなどでデジタルデータとして記録し、従業員がいつでもアクセス閲覧できるようにすること

一般的には、最後の「パソコンなどでデジタルデータとして記録し、従業員がいつでもアクセス閲覧できるようにする」方法を採用している企業が多いです。

テレワーク(在宅勤務)に関するQ&A

ここからは、テレワークを導入するにあたって企業が疑問に思うことや課題などをご紹介します。

就業規則を作成する上での疑問点も解決していきますので、ご活用いただければ幸いです。

テレワーク(在宅勤務)にも労働基準法は適用される?

テレワークであっても労働基準法は適用されます。通常勤務者と同様に、「1週40時間かつ1日8時間(休憩時間を除いた実働時間)」が原則です。

また、休日については「少なくとも毎週1日の休日か、4週間を通じて4日以上の休日を与えなければならない」としています。

企業は労働基準法に違反してはなりません。しかし、テレワークにおいて仕事と仕事以外の切り分けが難しい、長時間労働になりやすいなどの問題点が指摘されています。

そのため労働時間に関しては、以下の点についても就業規則に記載するようにしましょう。

  • 休憩時間をはさむようにする
  • 休日や夜間での時間外労働は事前申請制にする

他にも、通常よりも早く業務を開始することを認める場合にも就業規則に記載しておきましょう。

また、業務の指示を待っている待機時間も勤務時間となるため、注意しましょう。

下記の記事ではテレワークに適用される労働法制について詳しく紹介しているので、興味のある方はご覧ください。

>>テレワークの労働法制について詳しく知りたい方はこちら<<

テレワーク就業規則を作成したが、別途個別に雇用契約書や労働条件通知書を渡す必要がある?

既に雇用している労働者に対して、就業場所や労働時間などの労働条件に変更がある場合は「労働者と個別合意」が原則です。そのため、個別に雇用契約書や労働条件通知書などの書面で伝えて合意を得る必要があります。

しかし、就業規則の変更により労働条件を変更させることも可能です。

その場合は「変更後の就業規則を労働者に周知させた」ことに加え、「就業規則の変更が合理的なものである」ことという要件を満たす必要があります。就業規則を作成する上でこの2点に気をつけていれば、別途個別で雇用契約書や労働条件通知書を渡す必要はありません。

ただし、「就業場所」は労働契約締結に際し、書面交付で明示しなければならない労働条件のため、新しく雇う労働者にテレワークを行わせる場合は雇用契約書や労働条件通知書の就業場所に自宅が含まれることを明記しておきましょう。

テレワーク(在宅勤務)で私物の端末を使用させられる?

急遽テレワークを導入しなければならなかった際に、BYOD(Bring Your Own Device)を導入する企業もいることでしょう。

BYOD(Bring Your Own Device)とは、社員が個人で所有している私用端末(スマホやPC)を会社に持ち込み、業務に活用する仕組みのことをいいます。

コスト削減や業務効率の向上、非常時での事業継続性などのメリットがあり、近年では導入している企業も増えてきました。

しかし、情報漏えいや従業員の労働時間の管理が困難になるなどのデメリットもあります。

そのため、もしBYODを導入するのであれば許可制にしたり、禁止行為や制限範囲のルールを設けたりすると良いでしょう。

その際に就業規則にも記載する必要がありますが、別規程として「BYODガイドライン」を作成しても問題ありません。

テレワーク(在宅勤務)中に怪我や事故があった場合は?

テレワークであっても、労働基準法に基づいて労災の対象となります。

ただし労災と認定されるには、その原因が業務に起因していることであり、業務中での怪我や事故である必要があります。

例えば、在宅勤務の所定労働時間内に作業を中断してトイレに行った後、トイレから戻って着席する際に転倒して怪我をしたケースは労災と認定されます。

下記の記事ではテレワークの労災について詳しく紹介しているので、興味のある方はご覧ください。

>>テレワークの労災について詳しく知りたい方はこちら<<

テレワーク(在宅勤務)を行うにあたり必要なツールやグッズは?

自宅でも生産性を下げることなく、効率よく業務を遂行していくためには、オフィスワーク時と同様の作業環境を作る必要があります。

もし通信速度が遅いインターネット回線を利用しているのであれば、業務に支障をきたしてしまいます。その際に会社が新たに通信設備を支給するのか、会社支給のスマートフォンを利用してデザリングするのか、あるいは従業員に負担してもらうのかを検討しなければなりません。

他にも以下のようなツールやグッズを検討する必要があります。

  • パソコンやスマートフォン
  • 業務用デスクやチェア
  • 外部ディスプレイ
  • 勤怠管理ツール
  • タスク管理ツール
  • Web会議ツール
  • チャットツール

導入の検討にあたっては、コストの面にも配慮しながら自社に適したものを採用しましょう。自社のテレワークにおける課題を明確にし、その課題を解決するツールを導入すると効果的です。

また、情報漏えいやウイルス感染のリスクもあるため、セキュリティ対策も万全にしておく必要があります。

シンクライアントという社員側の端末にデータを保持させない仕組みの導入も検討すると良いでしょう。

さいごに

本記事ではテレワークの就業規則について説明してきました。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響で急遽テレワークを導入せざるを得なくなった企業もいるかと思います。

このような企業は就業規則の変更対応までできておらず、従来の就業規則のままになっているのではないでしょうか?

従業員とのトラブルを避けるためにも、テレワークに対応したルール作りは重要です。

このタイミングでテレワーク就業規則を作成してみてはいかがでしょうか?

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