昨今様々なワークスタイルが確立されていますが、そのうちの一つ「SOHO」と呼ばれるものをご存じですか?SOHOは今注目を集めている働き方の一つです。
名前だけは聞いたことがあるという人も多いのではないでしょうか。
今回はそんなSOHOについて解説します。
sohoとは
SOHOとはSmall office Home officeの略です。
SOHOは日本において1990年代後半に浸透し始めた言葉です。
SOHOという言葉には明確な定義はありませんが、本来は小さなオフィスや仕事場兼自宅として利用できる物件のことを指します。そこから派生し、小さなオフィスや自宅で仕事をする人、またそのワークスタイルを指すようになり、時間や場所にとらわれない新たな働き方として注目を浴びています。
一般財団法人 日本SOHO協会は、「IT(情報通信技術)を活用して事業活動を行っている従業員10名以下程度の規模の事業者」としています。
しかし近年では広い意味で捉えられるようになってきており、主婦や個人事業主が自宅で働くことを包括してSOHOと呼ぶ様になっています。
そんなSOHOが具体的に他の職業形態とどう異なるのか、また実際に始めるならどのような準備をすればいいのかについて解説していきます。
SOHOと似ている働き方
先述の通り、SOHOに明確な定義はありません。またいくつかのよく似た働き方が存在するため、はっきりその違いを理解していない方も多いのではないでしょうか?
ここでは、在宅勤務やフリーランスとSOHOの相違点について説明します。
在宅勤務との違い
在宅勤務はSOHOと同じくテレワークと呼ばれる時間や場所にとらわれない働き方の一種ですが、企業に雇用されながらICT(情報通信技術)を用いて自宅で仕事を行う職業形態であり、企業との雇用関係を持たないSOHOとは異なります。
>>在宅勤務についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<
フリーランスとの違い
フリーランスは個人のスキルを生かせる仕事を請け負い、その仕事ごとに契約をして働いている人のこといいます。SOHOと通ずる部分も多く、税制上でもSOHOとの違いがあるわけではないためあまり違いがないように思えます。しかし、フリーランスは雇用の形態に着目した呼び方であり、オフィスを構えることが絶対条件でないのに対し、SOHOはオフィス形態に着目した呼称であるという違いがあります。
>>フリーランスについてより知りたい方はこちらをご覧ください<<
SOHOに向いた職業
SOHOはその特殊性ゆえに、職業によって適不適が大きい職業形態です。
SOHOに向いているのは、来客等多数の人の出入りがなく、メールや郵便などで仕事のやり取りの大部分ができる仕事です。
例えばエンジニアやライター、デザイナー、YouTuber、プログラマーなどがそれにあたります。
SOHOと賃貸
SOHOにおいて言うまでもなく物件選びは最も重要です。
SOHOと賃貸物件の関係性、SOHOに向いている物件とそうでない物件について説明します。
SOHOとオフィスの違い
SOHO最大の特徴は、事業用のオフィス物件ではなく、居住用のSOHO物件で仕事をするということです。
居住用物件は事業用物件に比べていくつかの税金や保険料が安く抑えることができます。
近年SOHO可の物件が増えており、最初からSOHO用の物件だけでなく、もとは通常の居住用の物件がSOHO可になる場合もあります。
居住用の物件だからこそできることがある一方で、オフィスにしかできないことも多くあります。
また、必ずしも賃貸物件を借りなくてはならないわけではなく、様々な職種の人が同じスペースで仕事をするシェアオフィスという形態をとったり、コワーキングスペースと呼ばれる共有の仕事場を持ったりと、様々な選択肢が存在しますので、予算や環境によって最も適した仕事場を選択することが大切です。
SOHOでできること、できないこと
SOHO用の物件には、看板、標識を設置することができません。
また近隣の迷惑にあたるため、不特定多数の来客も不可の場合が多いようです。そのためサービス業は一般的に向いていないとされていますが、エステサロンやマッサージ店など物件によっては可能な場合もあるようです。
その一方で、オフィスには通常寝泊りすることができませんが、SOHO用の物件は居住用ですのでその限りではありません。
またオフィスに比べると初期費用、賃料は格段に安くなります。
SOHO向きの間取り
実際にSOHOを始めるとなった場合、どのような間取りで行うのが良いのでしょうか。
SOHOを始めるにあたって注意すべきなのは、以下のような点です。
- 来客がある場合は居住スペースを通らずに玄関、トイレなどに行き来できるか
- 仕事の導線と生活空間の境目がはっきりしており、集中して仕事ができる環境か
SOHO向け物件サイト
では、実際にSOHO可の物件を探すのに効率の良い方法はどのような方法なのでしょうか。SOHO専用の物件検索サイトがいくつか存在するので、その中から探すのがおすすめです。代表的なものだと、SOHO東京、THE SOHO、R-netなどが挙げられます。これらは東京周辺の代表的なSOHO物件を取り扱うサイトですが、大手不動産会社でもSOHO用物件を取り扱っているところは多くあります。
SOHO専用サイトだけでなく、様々な不動産会社に足を運んで自分が納得のいく物件を探してみると良いでしょう。
SOHOのメリット、デメリット
SOHOにはその特殊性ゆえに様々なメリット、デメリットが存在します。その代表的なものをご紹介します。
SOHOのメリット
まずはメリットから見ていきましょう。
仕事環境を自由に設定できる
仕事環境の設定を自由にできる点はSOHOの大きなメリットいえるでしょう。
インターネット設備さえあれば好きな環境で仕事ができる上に、通勤に悩まされる必要もありません。
時間の自由が得られる
会社勤めではないので、毎日決まった時間働く必要も定時の概念もSOHOにはありません。私用と仕事の兼ね合いも完全に自由に決めることができるので、これはかなり大きなメリットと言えます。
仕事量の調節がしやすい
もちろん仕事にはそれぞれ納期などが存在するため完全に自由という訳にはいきませんが、仕事量や内容に関してはかなり調節が効きます。これも会社との雇用関係がないからこそのメリットだといえます。
このようにSOHOのメリットは主にその自由さに起因するものです。
その一方で自由度が高いことによるデメリットもあるようです。次はデメリットについてご紹介します。
SOHOのデメリット
SOHOだけに限らず、個人事業主やフリーランスにも共通するデメリットが考えられます。
収入が不安定になる
SOHOは企業とは異なり、常に仕事があるとは限りません。よって収入が不安定になってしまうのが最大のデメリットといえるでしょう。
本業以外の庶務が発生する
SOHOにおいては、顧客を自ら獲得しなくてはなりません。そのための営業活動やその他の雑務などもすべて自ら行わなくてはなりません。
時間管理、仕事の管理がすべて自己責任
メリットと矛盾するようですが、時間、仕事内容まですべて調整できるということは仕事とプライベートが混同したり、時間管理がずさんになったりする危険をはらんでいます。SOHOはこのような点をきちんと管理できない人には向かない働き方であるといえるでしょう。
SOHOを始めるにあたって
それでは実際にSOHOを始める場合、どの様な準備をすればよいのでしょうか。
1,仕事内容の確定
まずはどのような仕事をするのか、それに伴ってどのような作業が必要となるのかを正確に決める必要があります。どのような仕事をするかによって必要な機材や準備が異なってくるので、まず最初にしっかりとした計画を立てることが大切です。
2,個人事業主開業届の提出or法人設立
次に個人事業主開業届を提出します。法人を立ち上げるのではなく、個人事業主としてSOHOを立ち上げるのであれば、個人事業主開業届の提出が義務付けられています。提出しなかった場合でも罰則があるというわけではありませんが、メリットが多くあるので提出するようにしましょう。
主なメリットとしては、確定申告時に青色申告ができること、銀行口座作成時に屋号の設定ができるようにあることなどが挙げられます。
>>個人事業主開業届についてより知りたい方はこちらをご覧ください<<
SOHO形式で法人を立ち上げる場合は、通常の法人設立手続きが求められます。
居住用物件は原則SOHO利用が可能ですが、居住用物件の法人登記は物件の規約やオーナーの意向により利用できない場合もありますので事前に確認をしましょう。
法人設立の流れは、
- 基本事項の決定
- 必要書類準備
- 定款等書類作成
- 資本金の払込み
- 法務局へ登記申請
- 各種行政などへの手続き
のように、個人事業主として始めるよりは時間がかかります。
大体1ヶ月ほどかかることを前提に準備しましょう。
3,仕事環境の設定
つぎに作業する場所、環境を決めます。
先述の通り、仕事とプライベートをしっかりと区切った環境を準備しましょう。
また長時間の作業に適するよう、深く座れて足が浮かない椅子や、椅子と高さがあった机など、自分の体に合う物を使用することをおすすめします。
FAXを日常的に使うのであれば電話機の設置は必須になります。その他にもインターネット環境やプリンターの用意等、職種にあった仕事環境を作り上げましょう。
4,問い合わせ窓口の作成
SOHOにおいて顧客の獲得が大切なのは先にも述べました。そのため問い合わせ窓口となるwebサイト、SNSアカウントの作成は非常に大切です。
顧客の獲得に向け、しっかりとアピールができるものを作りましょう。
さいごに
いかがだったでしょうか?ここまで様々な観点からSOHOについて紹介しました。
SOHOは近年注目されている働き方の一つですが、様々なメリット、デメリットがあります。しかし自由な働き方をしたいという人にとってはとても適した働き方であるといえることはわかっていただけたと思います。
ご自身にあった働き方を見つける一助となれば幸いです。
今すぐ複業をさがす