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フリーランス・個人事業主フリーランスのススメ 2021.04.23

フリーランスが業務委託契約書に記載すべき内容とは?雛形・テンプレートもご紹介

フリーランスの方が仕事をする上で必要となる「業務委託契約書」ですが、業務委託契約書の詳しい内容をきちんと理解していない方も中にはいるのではないでしょうか。

各条項についての知識を身に着けておかないと、契約内容で損をしてしまう可能性があります。

そこで今回は、業務委託契約書に盛り込むべき内容や、契約書を作成する際の注意点、さらには業務委託契約書のテンプレートもご紹介します。


業務委託契約書とは

業務委託契約書とは、業務の依頼者が受託者に対して業務を委託する際に、取り交わさなければならない契約書のことを意味します。

この記事では業務委託契約書について解説していきますが、まずは「業務委託」とは何かという点からご説明します。

業務委託契約とは

業務委託とは「企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける契約形態」のことを指します。

また、業務委託と混同されやすい「フリーランス」とは、企業に属さずにスキルを生かして、仕事単位で契約をして働く人のことを指す言葉です。そのため、フリーランスは働き方を指し、業務委託は契約方法を指していることになります。

業務委託契約と雇用契約の違い

雇用契約とは、労働者として労働に従事し、その対価として賃金を受け取る契約のことをいいます。

そのため、労働者は使用者一定の拘束のもと働くという「使用従属性」が認められます。

そもそも、労働者とは労働基準法第9条で「職業の種類を問わず、事業又は事務所に使用されるもので、賃金を支払われる者」と定義しています。

つまり、使用されているか、その対価として賃金が支払われているかという2つの基準で判断されます。この2つの基準を「使用従属性」といいます。

一方で業務委託契約は、企業に雇用されず仕事の結果に対して報酬が発生する契約なので、雇用主と労働者という使用従属性はありません。

この「使用従属性」の有無が業務委託契約と雇用契約の違いと言えます。

業務委託の種類について

実は「業務委託」という言葉は日本の民法には存在せず、正確には「請負契約」と「(凖)委任契約」を合わせた言い方になります。そこで、以下では「請負契約」と「(凖)委任契約」についてご紹介します。

請負契約

請負契約とは、仕事の結果に対して報酬が支払われる形式の契約です。

受託者は仕事の結果に責任を負うので、期日までに成果物が完成していない、もしくは成果物のクオリティが基準を満たしていない場合には、報酬が発生しないこともあります。

加えて、成果物の不備が納品後に発覚した場合、委託者は受託者に対して成果物の修繕や損害賠償を請求する権利を有します。

請負契約の例としては、ホームページやデザイン制作の契約やシステム構築契約、エレベーター保守契約などが挙げられます。

(凖)委任契約

委任契約とは、仕事の行為そのものに報酬が発生する契約です。

請負契約は受託者が仕事の結果に責任を負いますが、委任契約の場合は結果ではなく過程に責任を負います。このように、受託者は業務遂行の過程に細心の注意を払わなければならない「善管注意義務」を負うので、業務に取り掛かりさえすればいいわけではありません。

なお、委任契約と準委任契約の違いは、業務内容が「法律を扱うかどうか」です。

例えば、弁護士や税理士、会計士などの士業が行う業務は委任契約となり、コンサルタントやヘルプデスク、顧問などは準委任契約となります。

※「善管注意義務」とは、民法644条で「受任者は、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う」と定めおり、この義務のことを善管注意義務と呼びます。

業務委託契約のメリット

ここでは業務委託契約のメリットについて、企業と個人の2つの視点からご紹介します。

業務を委託する企業側のメリット

  • 経費を削減できる
  • 確定申告や税金の申請など面倒な手続きの手間がかからない
  • 社員がコア業務を行える
  • 業務量とコストを連動させられる
  • 契約の打ち切りができる

業務を請け負う個人側のメリット

  • 自分で仕事を選べる
  • 自分の得意分野の仕事を専門として行える
  • 高収入が見込める
  • 勤務時間や勤務場所に縛られないため自分のペースで仕事ができる
  • 対人関係によるストレスが生まれにくい
  • 業務の進め方の裁量がある

以上、ここまで「業務委託とは何か」という点から「業務委託の種類」、「メリット」について解説してきました。

以下の記事では、業務委託についてさらに詳しく解説しているので、興味のある方はご覧ください。

業務委託契約書の種類

それでは業務委託契約書に話を戻して、業務委託契約書の種類から解説していきます。

業務委託契約書の形式は「報酬の支払方法」によって大きく3つのタイプに分類できます。

  1. 毎月定額型
    毎月決められた金額を受託者に支払うことを定めた契約書です。主に、コンサルティングや清掃、保守の仕事を委託する際に用いられます。
  2. 成果報酬型
    委託した業務の成果によって報酬が決定する契約書です。主に営業代行、店舗運営などの業務を委託する際に用いられます。
  3. 単発業務型
    1回で完結する仕事を委託する際に用いられるのが単発業務型の契約書です。デザインの依頼やエンジニアリング業務などを委託する際に利用されます。

また、ビジネスで使われる契約書には、業務委託契約のほかに以下のものが挙げられます。

  • 売買契約書
  • 代理店契約書
  • 雇用契約書

業務委託契約の流れ

次に業務委託を進めていく際の大まかな流れを4つのステップに分けてご説明します。

  1. 契約の内容について合意をする

まずは委託者と受託者で話し合いを行い、「どのような契約内容を交わすのか」について決定しましょう。

ここでは、業務内容、期間、依頼の目的、納期、報酬などの主要な事柄だけでなく、進捗を報告する方法や頻度、経費の範囲、修正期間といった細かな点についても明らかにしておく必要があります。

  1. 契約書を作成する

続いて、取り決めをした内容に基づいて、契約書の原案を作成していきます。法的に義務付けられている場合を除いて、委託者と受託者のどちらが契約書を作成しても構いません。

このとき、口頭契約ではなく、業務委託契約書を通して契約をしなければならない理由は、「未然にトラブルを防ぐ」かつ「発生したトラブルに素早く対処する」ためです。

契約内容を証明できるものがないと、トラブルが起きやすくなってしまいます。

例えば、依頼された業務範囲がどこからどこまでなのか、不明確なまま業務を請け負ってしまうと、双方の認識のズレから「言った言わない」の争いになり、トラブルに発展します。

不必要なトラブルを防ぎ自分の身を守るためにも、契約書という目に見える形で取り決めを行うことが重要です。

なお、契約書に盛り込むべき内容については後述の「契約書に書くべき事項」にてご説明します。

  1. 契約書を確認する

原案として作成した契約書の内容に関して、委託者と受託者がそれぞれ確認を行います。契約書を作成した側に有利な内容が記されていることも少なくないので注意しましょう。

また、万が一妥協できないポイントがあれば意見して交渉することも大切です。確認作業の工程では、トラブルが発生した際の証拠となるので確認のやり取りを記録した議事録をつけておくことをおすすめします。

  1. 契約を締結する

合意できれば、いよいよ契約を締結します。書面で締結をする際は、委託者と受託者のそれぞれが署名・押印を行います。

ここで重要なことは双方が契約書を1通ずつ保管することです。これは契約書の紛失や改ざんなどを防ぐためです。

日付の記入および、委託者と受託者の署名・押印をした契約書を2部作成し、それぞれが保管するようにしましょう。

また、近年は書面ではなく、電子契約も普及しています。電子署名は紙や印刷代といったコストを削減できるメリットがあります。

中には、偽装をされてしまうリスクを懸念する声もありますが、電子署名には偽装を防止するための「タイムスタンプ」というデータを作成、更新した日時を証明する機能が備わっているので、偽装の心配はいりません。

よりよい業務委託契約を結ぶために

業務委託契約を交わす際に重要なのが、業務を委託する者と、業務を受託する者にとって、それぞれが都合のよい契約を交わすことです。

しかし、双方の利益を追求すると、どこかで対立する部分も出てきます。

そこで、委託者と受託者がwin-winとなる業務委託契約を結ぶためには、お互いの求めるポイントを洗い出したうえで双方が納得しておくことが重要です。

お互いが求めるポイントを洗い出したら、譲れる点と絶対に譲れない点を分けるために、優先順位付けを行いましょう。これらの作業を通じて、お互いの着地点を作り出せばwin-winな契約が実現できます。

収入印紙は業務委託契約書に必要?

取引の際に取り交わす契約書や領収書などの特定の文書には税金が課されます。この税金のことを「印紙税」といい、印紙税が課される文書のことを「課税文書」といいます。印紙税額は契約書の内容や契約金額などによって規定されています。

印紙税を納めるには、「収入印紙」という切手のような証票を課税文書に貼り、消印を押すことで完了します。

次にどのような文書が課税文書となるのかをご説明します。「国税庁」によると、課税文書に該当する文書とは、以下の3つの要件を満たした文書のことを指します。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。

(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。

(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

引用:国税庁「No.7100 課税文書に該当するかどうかの判断

なお、上記の3つの要件に該当するか否かについては、文書の言い回しや文言から形式的に判断するのではなく、記載されている実質的な内容を考慮して判断されます。

そのため、業務委託契約書についても、その内容によって課税文書に該当するかを判断することになります。

基本的に業務委託の内容が「請負契約」か「委任契約」かで、収入印紙の有無が異なります。

請負契約に該当する場合

まず、受託者が裁量を持って仕事を進め、仕事の完遂にのみ責任を負う「請負契約」の場合は、一般的に「課税文書」である「第2号文書」か、「第7号文書」のいずれかに該当するため、収入印紙が必要になります。(ただし、請負契約であっても「非課税文書」または「第1号文書」に該当する場合は除きます。)

第2号文書

第2号文書とは主に「請負に関する契約書」のことを指します。

具体的には、請負契約を規定した業務委託契約書の中で、「1回限り契約」または「継続的な契約、かつ、契約書に契約金額の記載されている」ものは「第2号文書」にあたります。

第2号文書について詳しくは国税庁の「第2号文書」をご覧ください。

また、第2号文書では契約書に記載された契約金額によって印紙税額が変動する仕組みになっており、国税庁が定める印紙税額は以下のように規定されています。

記載された契約金額 印紙税額
100万円以下のもの 200円
100万円を超え 200万円以下のもの 400円
200万円を超え 300万円以下のもの 1千円
300万円を超え 500万円以下のもの 2千円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円
5千万円を超え 1億円以下のもの 6万円
1億円を超え 5億円以下のもの 10万円
5億円を超え 10億円以下のもの 20万円
10億円を超え 50億円以下のもの 40万円
50億円を超えるもの 60万円
契約金額の記載のないもの 200円

第7号文書

第7号文書とは、主に「継続的取引の基本となる契約書」のことを指します。

詳しくご説明すると、第7号文書に該当する要件は次に掲げる5つすべてを満たすものでなければなりません。

  1. 営業者の間における契約であること
  2. 売買、売買の委託、運送、運送取扱い又は請負のいずれかの取引に関する契約であること
  3. 2以上の取引を継続して行うための契約であること
  4. 2以上の取引に共通して適用される取引条件のうち目的物の種類、取扱数量、単価、対価の支払方法、債務不履行の場合の損害賠償の方法又は再販売価格のうちの1以上の事項を定める契約であること
  5. 電気又はガスの供給に関する契約でないこと

引用:国税庁「令第26条第1号に該当する文書の要件

請負契約の中では、「継続する請負で、契約金額の記載のない」契約書は「第7号文書」にあたります。

ただし、「3ヶ月以内の契約期間」かつ「更新に関する規定がない」文書は該当しないことになっています。

印紙税の金額が段階的に定められている第2号文書とは異なり、契約金額の記載がない第7号文書での印紙税は一律で4,000円と定められています。

請負契約の分類表

ここまで説明してきたように、単発契約の場合は第2号文書です。

継続的な取引を規定する契約の場合は、契約書に契約の金額が記載されていれば第2号文書になり、記載されていなければ第7号文章になります。これらの分類を表にまとめたものが以下になります。

請負契約の分類

請負契約の形態

契約書の種類

1回限りの契約

第2号文書

継続的な契約、かつ、契約書に契約金額の記載されている場合

第2号文書

継続的な契約、かつ、契約書に契約金額の記載されていない場合

第7号文書

なお、第2号文書と第7号文書の印紙税額の違いを利用すると、節税もできます。

第2号文書と第7号文書の課税金額の違いを利用する方法です。

例えば、金額が500万円を下回る契約の場合、第7号文書の印紙税は4,000円ですが第2号文書の印紙税は2,000円以下なので、第7号文書に該当しないような契約内容にすると節税ができます。

「継続的な契約、かつ、契約金額が記載されていない」契約書は第7号文書に該当しますが、「3ヶ月以内の契約期間」かつ「更新に関する規定がない」文書は例外として第7号文書に該当しないことになっています。そのため、あえて契約期間を3ヶ月以内に抑え、更新に関する規定を設けなければ第2号文書として扱われます。

また、金額が500万円を超える契約の場合、第2号文書の印紙税は1万円以上になりますが、第7号文書の印紙税は4,000円なので、第7号文書の方が節税できます。

「継続的な契約、かつ、契約金額が記載されていない」契約書であれば第7号文書に該当するので、継続的な契約で金額を記載しない契約書を作成すると良いでしょう。

また、電子契約の場合は、印紙税は課税されないため節税できます。

これは、電子契約が書面での契約と異なり、課税文書の作成とはみなされないからです。

委任契約に該当する場合

委任契約に該当する場合、契約書は非課税文書として扱われるため、収入印紙は必要ありません。

注意点は、当該契約書が本当に委任契約に該当しているかどうかを確かめなければならない点です。

例えば、契約書の中に「成果物の納品に対して責任を負う」といった内容が記載されていれば請負契約にあたるので、収入印紙を貼る必要があります。

実は委任契約か請負契約かはグレーゾーンが大きく、判断が曖昧な部分になります。

そのため、本人は委任契約だと思っていても実は請負契約であるケースは少なくないので、課税文書に該当するかどうかは税務署に確認してみるとよいでしょう。

なお、委任契約であったとしても、売買や運送に該当する場合は、4,000円の収入印紙が必要となる第7号文書にあたる可能性があるので注意が必要です。

業務委託契約書に書くべき内容

ここでは、基本的な業務委託契約書のひな形をご紹介した上で、契約書に盛り込むべき各項目の説明を加えていきます。

※画像をクリックするとPDFファイルを開けます。

業務内容

どのような業務を委託するのかをきちんと明記しましょう。

また、業務の内容はできるだけ詳細な記載をしておくと良いです。詳細に書くことで委託者と受託者とで認識のずれを少なくできることはもちろん、受託者が業務を全て履行していない場合は、受託者に対する履行の要求や、履行を終えるまで報酬の支払いをしないなどの措置を取る際の根拠になるからです。

契約期間と更新

契約の期間および契約の更新についてもきちんと定めておく必要があります。

契約期間に関しては、受託した業務内容にもよりますが、双方で納得のいく期間を設定しましょう。

また、長期におよぶ委任業務の場合は、自動更新についての記載をしておくと契約書の作成や見直しを何度も行う手間がなくなります。

委託料

1つの成果物に対して何円の報酬が発生するのか、1ヶ月あたりいくらの報酬が発生するのか、発生した報酬はいつまでにどのような方法で支払われるのか、といった報酬の発生条件や細かな内訳や支払い方法について記載しましょう。

単発の業務委託における報酬の支払い方法には以下の3パターンがあります。

  • 業務完了時に一括で支払う
  • 着手時と完了時の2回に分けて支払いをする
  • 着手時、中間時、完了時の3回に分けて支払いをする

中間時に支払いをする場合は、どの程度まで業務を行うと報酬が発生するのかという基準も忘れずに設けておきましょう。

また、振り込み手数料の所在や、外税/内税、分割/一括など細かな点についても明示しておくとよいでしょう。

諸経費

経費の範囲についても明確にしておく必要があります。

例えば、交通費や通信費、宿泊費はどちらが負担するのか、負担の上限は設けられているかなどです。また、経費の支払い方法についても、その都度支給されるのか、受託者が一度立て替えて後日まとめて請求するのかなど様々なので必ず確認しましょう。

中途解約

請負契約の場合、契約の対象となった業務が完了する前であれば、委託者は受託者に損害賠償を支払うことを条件にいつでも契約の解約が可能です。(民法第641条)

一方、委任契約の場合、委託者と受託者の双方がいつでも契約を解約する権利を有します。(民法651条)

ただし、委託者は契約解約時点ですでに達成された業務の対価は支払う必要があるほか、「受託者が委託した業務に取り掛かっているにも関わらず契約を中途解約してしまう」といったケースを始め、相手にとって不利な時期に契約を解約すると損害賠償を支払わなければなりません。

また、委任契約に関しては、中途解約を希望する場合一定の事前予告期間を設ける内容を盛り込みましょう。

再委託

再委託とは、受託者が第三者に案件を委託する行為です。

プロに再委託することで業務委託の質とスピードを高められる可能性がある一方で、委託者の意図が伝わりにくくなるリスクもあります。

再委託は一長一短なので、許可するか否かは慎重に判断する必要があります。

また、一部の作業に限定して再委託を許可したり、再委託を条件付きにしたりすることも可能です。もし条件付きで再委託を許可する際は、どのような条件なのかを忘れずに記載しましょう。

秘密保持

情報漏えいのリスクや情報の不正利用のリスクを最小限に抑えるために、秘密保持に関する取り決めも記載しておきましょう。

秘密保持に関する取り決めとしては、例えば、開発ノウハウや顧客情報など業務遂行上で知りえた秘密情報の範囲や、業務外での情報の取り扱いについてなどです。

なお、業務委託契約書とは別に秘密保持契約書(NDA)が取り交わされている場合、「秘密保持」の条項は不要です。

※秘密保持契約書とは、その名の通り取引を行う上で知り得た秘密情報を他人に漏らしたり、不正に利用されたりすることを防止するために結ぶ契約書です。一般的には情報を開示する前に締結します。

解除

契約を解除する条項には、委託者・受託者の契約違反を理由とするものの記載が一般的です。

たとえ契約書に解除条項がなくても、民法上では、相手方に債務不履行があれば契約の解除が可能です。

例えば、受託者に依頼した物が期日までに引き渡されなかったり、納品したにも関わらず委託者よりお金が支払われなかったりすると、債務不履行となります。

ただし、債務不履行以外でも契約を解除しなければならない事由が起こる可能性があるため、どのようなときにどのような方法で契約を解除できるかを契約書に定めておきましょう。

一般的な解除事由としては、契約違反、差押え・仮処分・強制執行、破産・民事再生・会社更生の各手続きの開始申し立て、支払停止・不渡処分、営業停止処分などがあります。

損害賠償

損害賠償については、損害賠償が発生する対象や上限額について定めましょう。

委託者が行う損害賠償の例としては、情報漏えいや納期の遅延、成果物が完成しないまたは成果物の瑕疵、著作権の侵害などが挙げられます。

また、上限額については必ずしも設ける必要はなく、制限のない損害賠償額を規定することも可能です。

管轄裁判所

トラブルが裁判にもつれ込む事態となった場合、どの裁判所で争うことになるかを規定します。委託者と受託者とで最寄りの管轄裁判所が異なる場合、双方にとってアクセスしやすい裁判所や、被告側の本店を管轄する裁判所を第一審の専属管轄裁判所とするとよいでしょう。

その他盛り込むべき内容

前項までは基本的な業務委託契約書の内容について解説してきました。

ここからは、業務内容や契約形態によって業務委託契約書に盛り込むべき内容の一例をご紹介します。

著作権の取り扱い

著作権が発生する業務委託の場合、著作権の所在についても記載をしましょう。

デザインやライティングの業務委託を行う場合は特に注意が必要です。成果物を作成した時点では受託者が著作権を持っていますが成果物を納品した後は、委託者側に譲渡するケースがほとんどです。

意外と見落としがちな規定なので、受託者はしっかり確認した上で契約締結しましょう。

もし、著作権は譲渡せず利用許諾の契約にしたい場合は、委託者と話し合い、双方が納得のいく規定を設けることをおすすめします。

納期や修正方法、検収期間

納期や検収の必要がある請負契約のみに規定される条文です。

ここでは、納期の日時や成果物の中間報告の頻度のほか、成果物の修正方法についても定めます。また、納品後の検収期間や修正回数についても規定しておくことで、受託者が修正作業に臨みやすくなります。

契約不適合責任(瑕疵担保責任)

契約不適合責任は、受託者が納品した成果物に欠陥が見つかった場合、受託者がこれを補償しなければいけない責任のことです。請負契約書のみに規定される条文です。

この「契約不適合責任」は2020年4月1日に施行された民法改正において「瑕疵担保責任」から改正され、買主の権利や適用期間など様々な点で変更がありました。

中でも権利行使の期間について、以前の瑕疵担保責任の際は「瑕疵の修補又は損害賠償の請求及び契約の解除は、仕事の目的物を引き渡した時から一年以内」とされていましたが、契約不適合責任では「契約の解除又は損害賠償の請求は、買主が事実を知ったときから1年以内にしなければならない(改正民法566条)」とされました。

つまり、“通知”を1年以内にしていれば良いということです。

ただし、委託者が契約不適合につき悪意または重過失がある場合は除きます。

特にこの「契約不適合責任」は民法が改正されたことを知らない人も多いかと思いますので、契約書作成時は忘れないようにしましょう。

契約書作成時の注意点

契約書作成時の注意点は2つです。

あいまいな表現は使わない

契約書は、契約内容を明確に示す役割を担うものなので、複数の意味に解釈できるような文章や、曖昧な表現は使わないようにしましょう。

トラブルが起きた場合も記載する

業務委託では様々なトラブルが起きる可能性があります。想定される全てのトラブルについて漏れなく明記することを心がけましょう。

また、万一、受託者が契約内容を守らない場合に取る対応についても定めておく必要があります。

業務委託契約と税金

業務委託時の税金の取り扱いについて解説します。

業務委託契約者の確定申告

確定申告とは1年間の所得を計算し申告することで、納税金額の過不足を調整する手続きです。

まず前提として、業務委託契約の報酬は、給与所得には該当しません。

基本的に「事業所得」や「雑所得」などに区分されます。

そのため、フリーランスのような本業が業務委託の方の場合、課税所得が発生すると確定申告が必要となる決まりになっています。

課税所得とは、業務委託での収入から経費と各種所得控除を差し引いた値です。各種所得控除の中には「基礎控除」と呼ばれる所得控除があり、この基礎控除はすべての納税者の所得から一定の額が控除されます。

基礎控除額は、合計所得金額が2,400万円以下であれば年間48万円ですので、48万円以下であれば課税所得が発生しません。しかし、48万円を超えると課税所得が発生するため確定申告が必須となります。

一方で、会社員をしながら複業で業務委託をしている方は、業務委託で得た所得だけでなく給与所得もあります。その場合、業務委託における所得が20万円を超えると確定申告が必要です。

なぜかと言うと、給与以外の合計所得が年間20万円を超えたら確定申告を行う決まりとなっているからです。

なお、以下の記事では確定申告について詳しく解説しているので、興味のある方はご覧ください。

>>確定申告について詳しく知りたい方はこちら<<

業務委託の源泉徴収

給与や報酬を支払う事業者が、所得税をあらかじめ給与や報酬から差し引き、代理で納税する制度のことを源泉徴収といいます。

業務委託契約によって報酬を支払っている場合、源泉徴収は必要なのでしょうか?

まず、法人に対して支払う報酬・料金等は源泉徴収を行う必要はありません。

一方、個人に対して支払う報酬・料金等でも基本的には源泉徴収の必要はありませんが、以下に該当する場合は、源泉徴収を行う必要があります。

  • 原稿料や講演料を支払う場合
  • 特定の資格者(税理士、弁護士、司法書士)に支払う場合
  • プロスポーツ選手やモデル、外交員に支払う場合
  • 馬主に競馬の賞金を支払う場合
  • テレビ等の出演料や、個人が営む芸能プロダクションに支払う場合
  • ホテルや旅館のコンパニオンやバーのホステスなどに支払う場合
  • 役務の提供を約束して一時的に契約金を支払う場合

源泉徴収した税金を納付する期日は、源泉徴収の対象となる報酬・料金等を支払った翌月10日までです。納付方法はe-Taxを利用するか、管轄の税務署または金融機関に納付するかのどちらかです。

なお、給与の支払い人員が常時10人未満である源泉徴収義務者の場合は、「源泉所得税の納期の特例の承認に関する申請書」を申請し、承認を得れば源泉徴収を年2回にまとめて納付できるようになります。

>>源泉徴収について詳しく知りたい方はこちら<<

業務委託の消費税

業務委託で報酬を受け取った場合は、法人か個人かに関わらず、10%の消費税が発生します。

業務委託契約の注意点

業務委託契約を取り交わす際の注意点について解説します。

偽装請負でないか確認する

偽装請負とは、形式的には業務委託契約でありながら実態は労働者派遣である契約のことです。

偽装請負は委託者と受託者の間に指揮命令関係があるかどうかで判断をされます。

そもそも「労働派遣」は労働者派遣法第2条1号で「自己の雇用する労働者を当該雇用関係の下に、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることをいい、当該他人に対し、当該労働者を当該他人に雇用させることを約してするものを含まないものとする」と定義されています。

一方で、請負契約は仕事の結果に対して報酬が支払われる形式の契約です。結果が求められる請負契約において、その過程について具体的な指揮命令はできません。

もし偽装請負と判断された場合は、労働者派遣契約を回避する目的があったかどうかに関わらず、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」と「職業安定法」に違反することになります。

委託者は偽装請負に該当しないよう、受託者との関係を今一度見直し、受託者は偽装請負に該当するかどうかを確認しましょう。

使用従属性の有無を確認する

業務委託契約と雇用契約の違い」でも説明した通り、業務委託契約は「使用従属性」がないため労働者には該当しません。

労働者であれば、労働法による保護は受けられます。しかし、労働者ではない場合は労働法による保護は受けられません。

ただ、業務委託契約であっても「労働者」として労働法による保護を受けられる可能性があります。

使用従属性があるかどうかは契約の名称ではなく実態から判断されます。

使用従属性が認められる指標としては、「仕事の依頼に対する諾否の自由がないこと」や「業務遂行上の指揮命令があること」「勤務時間や場所の拘束があること」などが挙げられます。

詳しくは厚生労働省の「労働者について」をご覧ください。

もし現在、業務委託契約で働きながら、使用従属性が認められる指標に該当するようであれば社会保険制度の利用や有給休暇の所得、残業代の請求などができるため、まずは委託者と話し合うことをおすすめします。

また、委託者側も契約内容と実態に乖離が生じないよう気をつけましょう。

業務委託契約書のテンプレート・雛形

最後に、業務委託契約書のテンプレートを無料でダウンロードできるサイトをご紹介します。

bizocean

bizocean」は、様々な書式テンプレートを掲載している国内最大級のサイトで、2021年1月時点での書式数は40,233点にも上ります。

業務委託契約に関連するテンプレートは、一般的な業務委託契約書からデザイン業、コンサルタント業、ホームページ制作、システム開発など職種別の業務委託契約書や秘密保持契約書についても取り扱っています。

無料の文例書式テンプレート集

無料の文例書式テンプレート集」は様々な文例書式のテンプレートをダウンロードできるサイトで、業務委託契約書も取り扱っています。

書式名や文例から検索もできるので、利用しやすい作りになっています。

また、Word形式でダウンロードができるので、必要に応じて改変することも可能です。

ひな形ジャーナル

ひな形ジャーナル」は無料でテンプレートをダウンロードできるサイトです。

Word形式だけでなく、Pagesにも対応しているので、Macユーザーでも使いやすいサービスといえます。

また、テンプレートは「ビジネス向け」「個人向け」「業界関係者向け」の3つのカテゴリーに分類されているので、探しやすいという点でも魅力です。

ひな形ジャーナルの業務委託契約書は、内容が簡潔にまとめられているので、初心者におすすめといえるでしょう。

さいごに

業務委託契約の流れや契約書における注意点、業務委託時の税金など、様々な点について解説してきました。

業務委託を進める上でトラブルはつきものですが、穏便にトラブルに対処するためは業務委託契約書が重要です。そのため、契約書の作成や確認作業については細心の注意を払って臨むことをおすすめします。

この記事を読んだ方のお役に少しでも立てれば幸いです。

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