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ナレッジ業務委託 2021.06.04

業務委託って何?フリーランスと業務委託の違いは?業務委託の気になるポイントを解説

複業をしている方や、フリーランスの方であれば一度は必ず「業務委託」という言葉聞いたことがあるかと思います。

しかし、「業務委託は雇用契約や派遣契約などと何が違うのか」、「請負や委任の違いがいまいち分からない」という方もいるのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、「業務委託」とは何か、業務委託のメリット・デメリット、業務委託契約を交わす際の注意点などについて徹底解説していきます。


業務委託とフリーランスの違いは?

業務委託とフリーランスは混同されがちですが、似ているようで違う意味の言葉です。以下では両者の意味の違いについて解説します。

業務委託とは?

業務委託とは、「企業に雇用されるのではなく、企業と対等の立場で業務の依頼を受ける契約形態」のことを指します。

一般的に、企業が自社で対応できない業務を他の会社や個人といった外部に任せる際に利用する契約で、契約ごとに仕事の内容や金額が異なります。

もし受託側が契約内容に基づいた成果物を提供できなかった場合、委託企業から何らかのペナルティを受ける場合があるので注意が必要です。

フリーランスとは?

フリーランスとは、会社や企業に属さずに、スキルを生かして仕事ごとに契約をして働く人、つまり働き方のことを指します。

最近では、フリーランスとして企業から案件を受託し、生計を立てる人が多いです。

理由としては、社会的な認知度が上がったことや環境整備が進んだことが大きな要因と言えるでしょう。

また、委託側の立場で考えたときに、個人のフリーランスに委託した方が正社員を雇用するよりも費用が安くて済みますし、もろもろの手続きが楽という点からフリーランスに依頼する企業も増えました。

下記の記事ではフリーランスについて詳しくまとめられていますので、興味のある方はご覧ください。

>>フリーランスについてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<

フリーランスは「働き方」、業務委託は「契約形態」

業務委託とは、案件ごとに企業と個人が契約を結ぶ「契約形態」のことを指し、フリーランスは「働き方」を指します。

そのため、フリーランスが「業務委託」という契約を結んで働くことはありますが、必ずしもフリーランスが業務委託契約を結んで働くというわけではありません。

なぜなら、フリーランスの中には自身で作成した商品を販売している人もおり、この場合は業務委託契約を結んで働いているわけではないからです。

また、そもそも業務委託契約の受託者は個人ではなく企業の場合もあります。

業務委託について

フリーランスについてご紹介する前に、まずは業務委託について詳しく解説していきます。

業務委託が注目される背景

ランサーズが全国の20-69歳男女(3,096人)を対象に実施した「フリーランス実態調査」によると、2015年には日本国内で913万人だったフリーランスは、2018年には1119万人まで増えており、フリーランス人口は増加しています。

こうした事実からも「業務委託」という働き方が注目されていることがわかりますが、その背景には、「企業の人件費削減の流れ」、「リモートやフレックスタイムなど労働者の働き方の多様化」が影響しています。

働き方の違い

業務委託とは「働く」上での1つの業務形態です。

業務委託の他にどんな契約があるのか見ていきましょう。

世の中にある契約形態

①雇用契約

雇用契約とは、労働者が「労働」を提供し、企業がその報酬として「賃金」を与えることを約束する労働契約です。つまり、会社の従業員となって働く雇用形態を指します。

雇用契約を結んだ労働者には「企業活動に必要な業務」のうち、「社員が行う業務」を行ってもらいます。

②派遣契約

派遣契約とは、派遣会社と労働者が雇用契約を結んでおり、派遣先の企業で労働する契約です。

派遣契約を結んだ労働者には「企業活動に必要な業務」のうち、「外部で行う業務」を行ってもらいます。

③業務委託契約

「業務委託契約」とは、自社の業務を外部に委託する契約です。

日本の民法には「業務委託契約」という言葉はなく、正確には「請負契約」「委任/準委任契約」といいます。

業務委託契約をした労働者には「企業活動に必要な業務」のうち、「外部で行う業務」を行ってもらいますが、委託企業とは雇用契約を結びません。

業務委託契約の「請負契約」と「委任/準委任契約」の違い

では、業務委託契約を構成する、「請負契約」と「委任/準委任契約」とはどのような違いがあるのでしょうか?

請負契約

民法第632条より、請負契約とは「業務を受注した者が、委託された業務の完成を約束し、業務を発注した者は成果物に対して報酬を支払う契約」のことです。

そのため、納品物や成果物が対価となるため、作成過程は問われません。

例)システムエンジニア

委任契約/準委任契約

民法第643条より、委任/準委任契約とは「受注した業務に関して、『行為の遂行』を目指した契約」のことです。

そのため、業務行為自体が対価となるため、成果の如何を問いません。

例)企業の受付・事務

委任契約と準委任契約の違い

委任契約:法律行為を委託する契約(例:弁護士、税理士)

準委任契約:法律行為ではない行為を委託する契約(例:コンサルタント)

※委任契約と準委任契約の違いについて詳しくは「民法第656条」で定められています。

法律行為とは、当事者が示した意思表示の内容通りに一定の法律効果を発生させる行為のことです。

例えば、AさんがBさんからお花を買ったとします。このとき、Aさんの「花を買いたい」という意思とBさんの「花を売りたい」という意思の間で合意が形成されています。その合意に基づいて、花を渡す引渡請求権と代金を受取る代金請求権が発生します。つまり、AさんとBさんの合意内容どおりに義務や権利といった一定の法律効果が発生するのです。

このように、当事者が示した意思を法的に行使できる義務や権利を発生させる行為のことを法律行為といいます。

業務委託に関する法律

ここでは、業務委託契約をしたのち適用される法律について説明します。

請負契約:無過失責任である瑕疵担保責任

請負契約の性質上、受託者は委託者に成果物・納品物を納めます。

その成果物に対して、委託者から「材料・材質が違う」「数量が足りない」などの「業務内容に不備がある」と判断された場合、受託者はわざとでなくとも責任を取らなくてはならないことが示されています。

委任/準委任契約:善管注意義務

善管注意義務とは、その人の階層や地位、職業に応じて要求される、社会通念上、客観的・一般的に要求される注意を払う義務を指します。看護師、弁護士など、受託者の職業や専門によって注意を払うべき内容は異なるので案件ごとに求められる善管注意義務は異なります。

そして、委任/準委任契約において、委託者は善管注意義務さえ守っていればそれ以上の責任を負う必要はありません。

例:弁護士

弁護士が訴訟代理店と委任契約をした際、結果として裁判で敗訴をしても、善管注意義務さえ守っていれば、結果に対する責任を負う必要はありません。

業務委託のメリット・デメリット

ここまで、業務委託の概要について述べてきました。

では、業務委託をすることでどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか?

労働者・受託者から見た業務委託のメリット

まずは、労働者(受託者)から見た業務委託におけるメリットを見ていきましょう。

自分で仕事を選べる

社員として会社に雇用されるわけではないため、自分で仕事を選べます。

自分の得意としている仕事だけを受託すれば、好きな仕事に好きなだけ勤しめるメリットがあります。

自分の得意分野の仕事を専門として行える

自分で仕事を選べるため、自分の得意分野の仕事に専門的に従事できます。

そのため、専門領域でのスキルが大幅に上がり、その業界で名が通るようになるかもしれません。

名が通るようになると、「この業務は〇〇さんに頼もう」といったように仕事が舞い込んでくることが多々あります。

自分の専門領域のスキルが伸びて、仕事が舞い込んでくるのは一石二鳥です。

高収入が見込める

専門スキルが身について多くの仕事が舞い込んでくるようになると、仕事量が増え、収入の増加が見込めます。

ただし、裏を返せば、仕事をもらえなければ収入はありません。そのため、安定した仕事を受注するために、スキルは必要不可欠です。

勤務時間や勤務場所に縛られないため自分のペースで仕事ができる

業務委託は雇用契約ではないため、勤務時間や勤務場所に縛られず自分のペースで仕事を進められます。そのため、会社員では難しいと言われるワークライフバランスが非常に取りやすいです。

対人関係によるストレスが生まれにくい

業務委託は雇用契約よりも契約主を選びやすいです。そのため、自分とは考えや性格の合わない相手との付き合いを避けやすいといえます。

雇用契約している人にとって最も大きな問題とされているのが、人間関係のストレスだと言われています。その点、業務委託であれば人間関係のストレスを回避しやすいので大きなメリットになります。

業務の進め方の裁量がある

雇用契約の場合、仕事の過程は常に上司にチェックされていたり、周りの目を常に感じながら業務を進めなくてはならなかったりと、拘束の強い環境がストレスになることもあります。

しかし、業務委託の中でも、請負契約は成果物・納品物が対価となる契約のため、業務の進め方に規定はありません。

そのため、自分の裁量で自由に業務を進められます。

労働者・受託者から見た業務委託のデメリット

次に労働者(受託者)から見た業務委託におけるデメリットを見ていきましょう。

労働者を保護する法律の適用外になる

雇用契約の際は、企業に雇用されている立場であるため労働法が適用されますが、業務委託は労働法の適用外になります。

そのため、働き方や健康管理は自分の責任になります。

企業が守ってはくれないので、自分のことは自分で守る必要があるので注意しましょう。

確定申告や税金の申請など面倒な手続きを自分で行わなければならない

企業に雇用されているときは、企業に「労働」を提供する代わりに「報酬」として、給与をもらいます。給与の額にもよりますが、給与をもらうと税金がかかります。

本来は確定申告という個人の1年間の所得を計算し、納付すべき税を確定させる手続きを行わなければなりませんが、企業に雇用されている人は会社が年末調整をしてくれるので、原則として確定​申告をする必要はありません。

しかし、業務委託の場合は年末調整がないため、確定申告や税金の申請などの煩雑な手続きはすべて自分で行わなければなりません。

収入が不安定になる

業務委託の場合、受託する案件がないと仕事がないため、収入はありません。

自分のスキルや世の中の景気などによって、受託できる案件が頻繁に変わりやすく、収入が不安定になる可能性があります。

世の中の景気が良くて受託できる案件が多いときは月に100万円稼げても、翌月は景気が悪く、受託できる案件が少なくて月に20万円しか稼げないなんてこともあります。

メリットである「高収入が見込める」ことと表裏一体の関係だと言えるでしょう。

企業との交渉・契約は自ら行う

委託側は企業であることがほとんどです。単独で受託するのであれば委託企業相手に契約から交渉まですべて1人で行わなければなりません。

契約・交渉をするときはかなりのプレッシャーがかかります。

受託側は、この契約・交渉の道を通らないと仕事がなく、お金が稼げないので、多くの経験を積んで早く慣れるようにしましょう。

仕事はすべて自分で見つけなくてはならない

基本的に仕事は自分で見つけなくてはなりません。

「名前が通って仕事が舞い込んでくる」のは、仕事を自分で積極的に取りに行って多くの案件をこなした先にあります。

業務委託契約で仕事を始めた人は、まずは自分から積極的に行動し、自分を売り込むことから始めましょう。

企業側・委託者から見た業務委託のメリット

次に企業側(委託者)から見た業務委託のメリットを述べていきます。

経費を削減できる

雇用契約で1人雇うと、固定給や社会保険料・教育費などのコストがかかります。

そのため、社員を一人前に育てるために教育費や人件費を費やすよりも、外部に業務を委託する方がコストを抑えられるケースがあります。

このように、外部委託を有効活用することで、効率的な企業経営を実現できる可能性があります。

確定申告や税金の申請など面倒な手続きの手間がかからない

働いてお金を稼いでいる人は全員、国に対して確定申告のような税金に関する手続きを行う必要があります。

企業は、雇用契約を結んでいる社員から「労働」を提供してもらう代わりに、「報酬」として給与を与えることに加えて、確定申告のような面倒な税金に関する手続きを行わなければなりません。

社員一人ひとりの手続きを行うのは非常に手間であるため、雇用契約をしていない外部の人に業務を委託し、社員数を抑えることができれば、そういった手続きの手間も省けます。

社員がコア業務を行える

前提として、基本的に外部委託する業務内容は、手間がかかる煩雑な業務(上述した税金の手続きを行う業務や事務作業など)か、専門知識が必要な業務(ITスキル・プログラミングなど)が多いです。

そのため、手間がかかる煩雑な業務や専門知識を必要とする業務を外部に委託することで、社員は創造性やクリエイティブさが求められる、その企業の社員だからこそできる業務に取り組めるので、より効率的な企業経営ができるようになります。

業務量とコストを連動させられる

年度や季節によって、企業での仕事量が異なることがあるのではないでしょうか。

繁忙期に合わせて人材を確保すると、閑散期には人手が余って無駄に人件費がかかってしまいます。

しかし、業務委託であれば必要に応じて業務を外部に委託できるので、無駄なコストはかかりません。

つまり業務委託は、業務量とコストを連動させられるのです。

契約の打ち切りができる

雇用契約を結んでしまうと、なかなか契約を打ち切ることはできません。

そのため、企業にメリットを与えられていない社員がいても、契約をすぐに切ることはできず雇い続ける必要があります。

しかし、業務委託であればメリットが感じられていなければすぐに契約を打ち切ることができ、より合理的に経営できます。

企業側・委託者から見た業務委託のデメリット

次に企業側(委託者)から見て業務委託のデメリットを見ていきましょう。

質が担保されているとは限らない

業務委託を依頼する際、受託者が提供する成果物・納品物の質が必ずしも委託者の求めているレベルに達しているとは限りません。

社内で実際に業務を行うのであれば、目が常に行き届いているため質を担保できますが、業務委託では(特に請負契約である場合)作成過程を常にチェックするのは困難です。

そのため、業務計画が狂ってしまうことになり損失が出てしまうことがあります。

社内にノウハウがたまらない

業務委託は非常に効率的に経営ができますが、外部に業務を委託しているため、社員に業務のノウハウが蓄積されません。

専門性の高い業務である場合、かえって報酬が高くつく場合がある

専門性が高く、その業務を行える受託者が少ない場合、業務委託費は高騰する場合がほとんどです。

受託者数が多い業務は比較的安価なため、社員に業務を行わせるよりも外部委託のほうが安くなります。

しかし、専門性が高く受託者数が少ない業務の場合、業務委託費は高騰する傾向にあるので、社員を育てる教育費用よりもかえって高くついてしまうことがあります。

受託者が必ずしもいるとは限らない

委託する業務が専門的すぎたり、時期的に委託者が多く請け負ってくれる受託者がいなかったりする場合は外部に依頼できないことがあります。

ある業務を委託していつまでに行いたい、と考えていても、受託者がいなければ要望を満たせません。

こうしてみると、委託側・受託側にそれぞれ様々なメリット・デメリットがあります。

自分や企業の状況に合わせて業務委託をするかどうか検討しましょう。

業務委託契約を行う時の注意点

実際に業務委託委契約をするときにどういったことに気をつければよいのでしょうか?

そもそも契約書が必要かどうかという点から見ていきましょう。

契約書は必要?

結論からいいますと、業務委託契約を行うとき契約書は必要です。

口頭契約ではなく、書面契約を行うようにしてください。

口頭契約を行ってしまうと、後日になってトラブルになる可能性があります。

トラブル回避のために契約書は必要です。

特に契約書が必要な職種はなにか?
  • デザイナー
  • エンジニア
  • イラストレーター

上記3つの職種は特に、出来栄えが顕著に現れる職種です。

「もっとこんな色合いにしてほしかった」「このような機能をつけてもらうつもりだった」「イメージと違う」といったようなことが多々あります。

上記のような問題が起きたときに、受託者が責任を持って修正するのか、委託者の責任とするのか、契約書に明示しておきましょう。

業務委託契約書は課税?非課税?印紙は必要?

業務委託契約書は、契約内容によって課税文書(収入印紙を貼る必要がある文書)に該当する場合があります。

では、どのような場合でしょうか?

国税庁によると、下記の事項に該当する文書は課税文書とみなされます。

この課税文書とは、次の3つのすべてに当てはまる文書をいいます。

(1) 印紙税法別表第1(課税物件表)に掲げられている20種類の文書により証されるべき事項(課税事項)が記載されていること。

(2) 当事者の間において課税事項を証明する目的で作成された文書であること。

(3) 印紙税法第5条(非課税文書)の規定により印紙税を課税しないこととされている非課税文書でないこと。

上記の事項が該当するか否かは、文言や呼称から形式的に判断をするのではなく、文書に記載されている実質的な内容に基づいて判断されます。

>>課税文書についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<

請負契約は課税、委任/準委任契約は非課税

請負契約は課税文書、委任/準委任契約は非課税文書になります。

課税文書は印紙税の対象になりますので、収入印紙が必要です。

つまり、請負契約は収入印紙を契約書に貼る必要があり、委任/準委任契約は収入印紙を契約書に貼る必要がありません。

なお、請負契約の税額は以下の表のようになっています。

記載された契約金額

税額

1万円未満のもの

非課税

1万円以上、100万円以下のもの

200円

100万円を超え、200万円以下のもの

400円

200万円を超え、300万円以下のもの

1,000円

300万円を超え、500万円以下のもの

2,000円

500万円を超え、1,000万円以下のもの

1万円

1,000万円を超え、5,000万円以下のもの

2万円

5,000万円を超え、1億円以下のもの

6万円

1億円を超え、5億円以下のもの

10万円

5億円を超え、10億円以下のもの

20万円

10億円を超え、50億円以下のもの

40万円

50億円を超えるもの

60万円

契約金額の記載がないもの

200円

収入印紙とは?

収入印紙とは、印紙税における租税・手数料その他の収納金の徴収のために政府が発行する証票のことです。

印紙を貼った消印には、印鑑やサインをすることが一般的です。

彩紋に汚染があるものや、消印されていたり、消印されていなくても使用済みの印紙が使用されていたりする場合は印紙税を納付したとは認められないうえ、その課税文書は処罰の対象になります。

第2号文書

第2号文書は、請負契約に関する契約書です。

請負契約の場合は、第2号文書に収入印紙を貼りましょう。

印紙税の金額は、契約金額の記載の無いものは税額200円という例外があるほかは、契約金額に応じて段階的に税額が設定されています。

ちなみに、文書に記載された契約金額が1万円未満の場合であっても第二号文書の場合は非課税にはなりません。

第7号文書

第7号文書は請負契約において、契約期間が3ヶ月以上の契約を結ぶ際の契約書です。

第7号文書は印紙税法上、「特約店契約書、代理店契約書、銀行取引約定書その他の契約書で、特定の相手方との間に継続的に生ずる取引の基本となるものの中で、政令で定めるもの」とされています。

印紙税の金額は、契約金額の記載がないため4,000円均一となっています。

第2号文書と第7号文書の違い

第2号文書と第7号文書の条件が重複した場合、下記のように印紙税を計算します。

  • 契約金額の記載があるものは第2号文書
  • 金額記載のないものは第7号文書

委任契約は非課税(印紙は不要)

委任契約に該当する場合、その契約書は非課税文書となり、収入印紙の貼付は不要です。

契約書に書くこと

業務委託契約書には、主に以下の内容を記載します。

  • 業務内容
  • 契約期間と更新
  • 委託料
  • 諸経費
  • 中途解約
  • 再委託
  • 秘密保持
  • 解除
  • 損害賠償
  • 管轄裁判所

契約書に書くべき内容については、以下の記事で詳しく説明しています。

>>業務委託契約書に記載すべき内容についてより詳しく知りたい方はこちらをご覧ください<<

業務委託時の報酬は源泉徴収される?

ここでは業務委託時に受け取った報酬が源泉徴収にあたるのかどうかについて説明していきます。

まずは、源泉徴収についての説明です。

源泉徴収とは?

源泉徴収とは、給与や報酬を支払う事業者が、所得税を予め給与や報酬から差し引き、代理で納税する制度のことです。

源泉徴収の対象となるのは、主に正社員の給与所得です。会社に勤めているのであれば、必ず源泉徴収されます。

また、源泉徴収の話に付随して年末調整という言葉をよく耳にするのではないでしょうか。

年末調整とは、従業員から源泉徴収した所得税と、本来納めるべき所得税額を再計算し、源泉徴収した額と比較して過不足金額を調整することをいいます。

源泉徴収についてより詳しく知りたい方は「源泉徴収とは?複業の場合も源泉徴収されるの?個人事業主やフリーランスの場合はどうなるの?」を見ていただければ幸いです。

源泉徴収の対象となる報酬・お金

業務委託は、企業との雇用関係ではないため、基本的に源泉徴収は行われません。(源泉という名目で税金を引くのは、「企業ー社員」の関係性で行われるため)

ただし、中には源泉徴収される報酬・料金もあります。

そこで次に「源泉徴収の対象となる報酬・料金」について述べていきます。

報酬を受けるのが、「個人」の場合、以下の報酬であれば源泉徴収されます。

  • 原稿料や講演料、デザイン料などを報酬として受け取る場合
  • 特定の資格がある個人が報酬を受け取る場合
  • 芸能関係・プロスポーツ選手が報酬を受け取る場合
  • 役務の提供に対して一時的な契約金を受け取る場合
  • その他の報酬を受け取る場合

一方、「法人」の場合、以下の報酬であれば源泉徴収されます。

  • 馬主である法人に支払う競馬の賞金

ただし、受け取る報酬が源泉徴収にあたるかどうかは、ケースバイケースです。

詳しくは、給与と源泉徴収|国税庁をご覧ください。

源泉徴収をされるかどうかの例として、フリーランスの代表的な職業である「ライター」と「エンジニア」の2つの職業をご紹介します。

ライター

ライターが執筆する原稿料は、全て源泉徴収の対象になります。したがって、依頼者は源泉徴収した報酬をライターに支払うようにしましょう。

源泉徴収額の計算方法は、ライターへの報酬が100万円に満たない場合は「支払金額×10.21」で算出し、ライターへの報酬が100万円を超える場合は「(支払金額–100万円)×20.42%+102,100円」で算出します。

なお、源泉徴収税を国に納税するのは源泉徴収義務者である依頼人です。依頼人が源泉徴収した額を税務署へ納付します。報酬をもらったライター側で何かをする必要はありません。

あえて言うなら源泉徴収税額を自身で計算し、請求書に記載しなければなりません。

エンジニア

エンジニアの基本的な仕事内容であるプログラミング、ソフトの開発、コーディングなどは、上記に示した源泉徴収の対象となる業務には含まれていません。したがって、エンジニアは基本的に源泉徴収されません。

ただし、デザインに関する報酬については源泉徴収の対象になるので、Webデザインに関わる仕事をした場合には源泉徴収の対象になる可能性があります。

また、講演料も源泉徴収の対象になるので、エンジニアにまつわる講演会を開いた場合の報酬については源泉徴収の対象となります。

偽装請負とは

続いて、請負契約の締結において注意しなければならない偽装請負について説明します。

偽装請負とは、請負(委託)契約を交わしたにも関わらず、実態として雇用契約のような扱いを受けることを指します。

偽装請負は違法です。

偽装請負なのか雇用契約なのか判断する方法について説明していきます。

請負契約か雇用契約か判断する方法

既に説明したとおり、偽装請負とは、契約上は請負契約とされているが、実際は雇用契約のような労働を行わされることです。

雇用なのか請負なのかの判断は、契約の名称に基づくのではなく、使用者と労働者の間に指揮監督関係が存在するのかといった業務の実態に基づきます。

そのため、自分が実際に働いているときに、「請負契約をしているのに雇用契約のような労働を強いられていないか」と自身で判断する必要があります。

見極める方法は、以下の2点です。

  • 契約に基づいた成果物・納品物を納めることが労働の目的とされているか
  • 委託者からの指揮・命令がされていないか

上記のいずれかに該当する場合、偽装請負の可能性があります。

偽装請負に該当していると感じている方は弁護士に相談してみましょう。

フリーランスが業務委託契約を結ぶ際の注意点

フリーランスが業務委託契約を結ぶ時、委託側が偽装請負を行うといったトラブルに巻き込まれることがあります。

自分のことは自分で守れるように、フリーランスが実際に業務委託契約を結ぶ時にどういった点に注意すればよいのかを述べていきます。

不利な条件での契約はしない

委託者と受託者が対等となるような契約を行うようにしましょう。

フリーランスなりたての頃は仕事欲しさに不利な条件を飲んだり、自分を大きく見せようと不利な条件でも仕事を受けたりすることがあります。

後々に自分を苦しめることになってしまうので、双方が納得できる契約を行いましょう。

委託者の連絡先を確認しておく

何かあったときに委託者に連絡できるように連絡先は交換しておきましょう。

例えば、相手方の支払いが滞ってしまったときは、委託者の連絡先がわからないとどうしようもありません。

また、中にはスカイプや電話形式で契約を行い、契約書は後日発送、といった企業もあります。

その際は、本当にその企業が存在しているか、信頼にあたる企業なのかなどを事前に調べておきましょう。

契約日や契約期間を確認する

契約日や契約期間についてしっかり確認を取りましょう。

特に委任契約の際にトラブルが起きやすいです。

例えば、契約期間が「〇日から15日」と記載してあった場合、〇日はカウント対象になるのか、15日目の朝に契約終了なのか夜23:59に契約終了なのかなど、細かい点まで確認をするようにしましょう。

契約の形態を確認する

契約形態が何か、文面だけではなく内容で判断しましょう。

請負契約と書いていても内容が委任契約となっている場合がありますので、気をつけなければなりません。

請負契約なら契約書に「~を請け負う」、委任契約なら「~を委任する」などと記載されているので、確認しましょう。

支払いや業務に関わる経費をどうするか

交通費や取材費などの業務に関わる費用は委託者・受託者のどちらに発生するのかを事前に確認することをおすすめします。

後々、どちらが費用を負担するのかで揉めるケースもあります。

予期せぬことが起きた場合の措置

電車による遅延や納品物の出来に満足行かなかった場合など、予期せぬ事態が起きたときの対応方法を確認しておきましょう。

フリーランス駆け出しの頃は、特に契約書に気を使って自分が不利にならないようにすることが大切です。

フリーランスが案件を獲得するまでの流れ

では、実際に案件を獲得するまでの流れを見ていきましょう。

請負契約・委任/準委任契約どちらも進め方は同じです。

下記をひとつずつ見ていきましょう。

  1. 仕事の提案・見積もり
  2. 条件の交渉
  3. 契約の締結
  4. 納品や期間内の作業
  5. 発注側の確認や検収
  6. 報酬の支払い

仕事の提案・見積もり

基本的に、委託者が業務を外部委託するときは「いかに低コストで高いパフォーマンスを出せるのか」という観点を最も気にしています。

そのため、受託者は、コミュニケーション能力や、継続的に仕事ができるかどうか、報酬金はいくらになるか、といった様々な面をチェックされます。

提案時には、「ポートフォリオを作成して自分のスキルや実績を目に見える形でアピールする」のと同時に、「現実味のある提案(報酬金額、納期、クオリティ)」をするように心がけましょう。

条件の交渉

フリーランスになりたての人は、特に「来るもの拒まず」といった形で条件を気にせず依頼された案件をただひたすら飲むだけ、ということになってしまうことがあります。

不利な条件を突きつけられることもあるので、しっかりと自分の条件も提示して対等な立場で契約を結ぶようにしましょう。

契約の締結

契約の締結を行う際には、口頭ではなくしっかり書面契約を行い、話し合って決めたことが正しく明記されているかを確認しましょう。

さいごに

これまで業務委託について詳しく解説してきました。

業務委託を受けて働く人すべてがうまくいっているわけではなく、中には厳しい現実に直面する人も少なからずいます。

業務委託として働くことを考えている方はこのようなリスクがあることを常に頭の隅に置くことが大切です。

リスクは理解していれば対策をとれます。

しっかりと対策をし、業務委託のメリットを最大限享受していきましょう。

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